【受け入れ機関必読】特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保の基準 3/4
中小企業における外国人材の受け入れには、適切な支援体制の整備が不可欠です。特定技能制度では、支援責任者と支援担当者の選任を含む7つの具体的な要件が定められており、これらすべての基準を満たす必要があります。ただし、登録支援機関に業務を委託することで、自社での体制整備の負担を軽減することも可能です。本記事では、特定技能基準省令2条2項に基づく支援体制の要件を、実務に即して詳しく解説。経験者の選任から文書管理、定期面談の実施まで、確実な対応のポイントをわかりやすく解説します。
この記事を読むとわかること
- 特定技能外国人の受入に必要な7つの支援体制要件の具体的な内容と対応方法
- 支援責任者・担当者の選任における3つの選択肢と実務上の要件
- 外国人材との円滑なコミュニケーション体制の整備方法と文書管理のポイント
- 支援担当者の中立性確保と定期面談の実施における重要事項
- 登録支援機関への委託による体制整備の負担軽減方法
- 1. 外国人を支援する体制7つの項目を確認|特定技能基準省令2条2項
- 2. 各項目の根拠省令と詳細解説
- 2.1. ① イロハの"いずれか"に該当すること
- 2.2. ② 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
- 2.3. ③ 支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
- 2.4. ④ 支援責任者及び支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと
- 2.5. ⑤ 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
- 2.6. ⑥ 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること
- 2.7. ⑦ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
- 3. 終わりに
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4つの基準『詳細解説』
外国人を支援する体制7つの項目を確認|特定技能基準省令2条2項
特定技能外国人を受け入れる企業には、適切な支援体制の構築が求められます。企業は支援責任者と支援担当者を選任する必要がありますが、この選任には一定の要件があります。
支援体制では、外国人材が理解できる言語でのコミュニケーションが不可欠です。また、定期的な面談の実施や支援状況を記録した文書の保管(雇用契約終了後1年以上)も必要です。
なお、これらの要件は登録支援機関に支援業務を全て委託する場合には、その機関が満たしていれば要件を満たしているとみなされます。
- イロハのいずれかに該当すること
イ 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上。以下同じ。)を選任していること
ロ 役職員で過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の生活相談等に従事した経験を有するものの中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
ハ 上記と同程度に支援業務を適正に実施することができる者で、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること - 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
- 支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
- 支援責任者及び支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと
- 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
- 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること
- 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
各項目の根拠省令と詳細解説
① イロハの"いずれか"に該当すること
特定技能基準省令2条2項1号
法第二条の五第三項の法務省令で定める基準のうち適合一号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保に係るものは、次のとおりとする。
- 次のいずれかに該当すること。
イ 過去二年間に法別表第一の一の表、この表及び五の表の上欄の在留資格(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことができる在留資格に限る。口において同じ。)をもって在留する中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ、役員又は職員の中から、適合一号特定技能外国人支援計画の実施に関する責任者(以下「支援責任者」という。)及び外国人に特定技能雇用契約に基づく活動をさせる事業所ごとに一名以上の適合一号特定技能外国人支援計画に基づく支援を担当する者(以下「支援担当者」という。)を選任していること(ただし,支援責任者は支援担当者を兼ねることができる。以下同じ。)。
口 役員又は職員であって過去二年間に法別表第一の一の表、二の表及び五の表の上欄の在留資格をもって在留する中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有するものの中から、支援責任者及び外国人に特定技能雇用契約に基づく活動をさせる事業所ごとに一名以上の支援担当者を選任していること。
ハ イ又はロの基準に適合する者のほか、これらの者と同程度に支援業務を適正に実施することができる者として認めたもので、役員又は職員の中から、支援責任者及び外国人に特定技能雇用契約に基づく活動をさせる事業所ごとに一名以上の支援担当者を選任していること。
特定技能外国人の受け入れには、適切な支援体制の構築が不可欠です。特に支援責任者と支援担当者の選任は重要な要件となりますが、以下の3つのいずれかの条件を満たすことで実現可能です。
第一の条件は、過去2年間に就労目的の外国人(技能実習生など)を適切に受け入れた実績があることです。この場合、社内の役員または従業員から支援責任者と支援担当者を選任できます。
第二の条件は、外国人の生活相談業務の経験者を社内に有していることです。この経験は単なる求人紹介や個人的な相談、ボランティア活動ではなく、生活契約支援や生活オリエンテーション、定期面談などの業務として行われたものである必要があります。
第三の条件は、上記に準ずる支援能力があると認められることです。これは外国人雇用の実績や支援体制の整備状況、担当者の経験や資格などを総合的に判断して決定されます。
支援責任者は支援計画の作成から進捗管理、関係機関との調整まで、支援業務全体を統括します。支援担当者は実際の支援業務を担当し、各事業所に最低1名の配置が必要です。両者は兼務可能ですが、その場合は双方の基準を満たす必要があります。
なお、これまでに賃金未払いや違法な違約金契約、労働基準監督署からの是正勧告などの法令違反がある場合は、支援体制が整っているとは認められません。
② 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
特定技能基準省令2条2項2号
特定技能雇用契約の当事者である外国人に係る一号特定技能外国人支援計画に基づく職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援を当該外国人が十分に理解することができる言語によって行うことができる体制を有していること。
特定技能外国人を受け入れる企業は、外国人材との円滑なコミュニケーションを確保するための体制を整える必要があります。この体制は、職業生活、日常生活、社会生活のすべての場面で外国人材が十分に理解できる言語でのサポートを提供することを目的としています。
具体的には、以下の2つの体制が求められます:
- 適切な情報提供体制: 外国人材が確実に理解できる言語で、必要な情報を提供できる仕組みを整えること。
- 適切な相談体制: 外国人材が理解できる言語で相談対応ができる担当者を確保すること。
ここで重要なポイントは、必ずしも外国人材の母国語である必要はないということです。例えば、外国人材が日本語で十分なコミュニケーションが取れる場合は、日本語での対応も可能です。また、通訳者を正社員として雇用する必要はなく、必要に応じて通訳サービスを外部委託することでも要件を満たすことができます。
③ 支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
特定技能基準省令2条2項3号
一号特定技能外国人支援の状況に係る文書を作成し、当該一号特定技能外国人支援を行う事業所に特定技能雇用契約の終了の日から一年以上備えて置くこととしていること。
特定技能外国人を受け入れる企業には、支援活動の記録を適切に作成・保管することが法律で義務付けられています。この記録管理は、支援が適切に行われていることを証明するための重要な要件となります。
記録として残すべき内容は以下の通りです:
- 支援体制に関する文書(支援責任者・担当者の選任状況など)
- 支援業務を外部に委託している場合は、その委託契約書
- 支援対象となる外国人材の情報
- 実際に行った支援活動の内容と実施状況
これらの記録は、外国人材との雇用契約が終了した後も1年以上保管する必要があります。この保管義務は、支援業務の透明性を確保し、適切な支援が行われていたことを事後的に確認できるようにするために定められているものです。
④ 支援責任者及び支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと
特定技能基準省令2条2項4号
支援責任者及び支援担当者が、外国人を監する立場にない者その他の一号特定技能外国人支援計画の中立な実施を行うことができる立場の者であり、かつ,第一項第四号イからルまでのいずれにも該当しない者であること。
法律では、支援責任者及び支援担当者は一定の欠格事由に該当しないことと、中立的な立場で支援業務を行えることの2点を求めています。具体的には、以下の条件を満たす必要があります。
支援担当者は、特定技能外国人に対して直接的な指揮命令権を持たない立場の者でなければなりません。従って、以下の立場にあるような組織図を作成したときに縦のライン上にあるものは支援担当者として不適格となります。
- 代表取締役
- 特定技能外国人が所属する部署の上司
- 特定技能外国人が所属する部門の管理職
この規定の目的は、外国人従業員が職場で問題に直面した際に、支援担当者が中立的な立場で相談に応じ、適切な支援を提供できるようにすることです。例えば、労働条件や職場環境に関する相談があった場合、直属の上司では中立的な対応が難しい可能性があります。
支援担当者の選任にあたっては、上記の点のほか、事業の形態や外国人を監督する立場にある者と支援責任者や担当者との関係性などが考慮されます。
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⑤ 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
特定技能基準省令2条2項5号
特定技能雇用契約の締結の日前五年以内又はその締結の日以後に,法第十九条の二十二第一項の規定に反して適合一号特定技能外国人支援計画に基づいた一号特定技能外国人支援を怠ったことがないこと
特定技能外国人の受け入れにあたって、企業の過去の支援実績は重要な審査項目となります。特に、以下の期間における支援義務の履行状況が厳しくチェックされます。
- 新たな特定技能雇用契約を締結する日より前の5年間
- 雇用契約締結後の期間
過去5年間に法律で定められた支援計画に基づく支援義務を怠ったことがある企業は、新たな特定技能外国人を受け入れることができません。また、特定技能雇用契約の締結後にこの支援義務に違反した場合も、特定技能受け入れ企業としての資格を失う可能性があります。
支援計画は単なる形式的な文書ではなく、外国人材の職業生活と日常生活を支える重要な基準となります。そのため、計画の内容を確実に実施し、適切な支援を継続的に提供することが求められます。
⑥ 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること
特定技能基準省令2条2項6号
支援責任者又は支援担当者が特定技能雇用契約の当事者である外国人及びその監習をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること。
特定技能外国人を雇用する際、事業者には定期的な面談の実施が義務付けられています。この面談は、外国人材が安定して就労を続けられるよう支援することを目的としています。
具体的には、支援責任者または支援担当者が、3ヶ月に1回以上の頻度で特定技能外国人本人と、その直属の上司にあたる監督者の両方と直接対面して話をする必要があります。ここでいう監督者とは、特定技能外国人と同じ部署で直接指揮命令を行う立場の方を指します。
なお、人材派遣の形態で受け入れている場合は、派遣先の監督者との面談も必要となります。
また、漁業分野については、長期間にわたり洋上業務という特殊性を考慮し、3ヶ月に1回以上の無線や船舶電話による連絡で代替することが認められています。ただし、漁船が帰港した際には、支援担当者による直接の面談を実施する必要があります。
なお、この定期面談は原則として対面での実施が求められています。これは法令の解釈によるものです。特定技能基準省令の他の条項では、テレビ電話等による代替手段が明示的に認められているのに対し、面談に関する条項ではそのような記載がないことから、立法者の意図として対面実施を求めていると解釈されています。
⑦ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
特定技能基準省令2条2項7号
前各号に掲げるもののほか、法務大臣が告示で定める特定の産業上の分野に係るものにあっては、該産業上の分野を所管する関係行政機関の長が、法務大臣と協議の上,当該産業上の分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準に適合すること。
特定技能制度では、基本的な要件に加えて、それぞれの産業分野で独自の基準が設けられる場合があります。これは各産業の実情に合わせて、より適切な外国人材の受け入れを実現するための仕組みです。
たとえば、介護分野では利用者の安全確保の観点から日本語能力に関する追加要件が定められていますし、建設分野では現場での安全管理の観点から特別な安全講習の受講が求められています。このような追加要件は、その分野を管轄する省庁(介護であれば厚生労働省、建設であれば国土交通省など)が法務省と協議しながら決定します。
ただし、すべての産業分野で追加要件が設定されているわけではありません。また、要件が設定されている場合でも、その内容は分野によって大きく異なります。そのため、特定技能外国人の受け入れを検討する企業は、まず自社の事業分野における追加要件の有無とその内容を確認することが重要です。
終わりに
「お客様一人ひとりの人生に寄り添う」を理念に掲げる当事務所は、神奈川県逗子市を拠点とする行政書士事務所です。特に力を入れているのが、特定技能制度に関する国際業務。地域に密着しながら、外国人材の受け入れをお考えの企業様のサポートを行っています。
また、横須賀の米海軍基地職員を兼務していることから、日米の国際結婚に関する実務経験が豊富です。制度上の知識だけでなく、実際の生活面での不安や疑問もきめ細やかにお応えできることが強みです。
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