【技術・人文知識・国際業務】ビザでできる仕事の一覧と基本条件

日本で働く外国人にとって、「技術・人文知識・国際業務」のビザ(在留資格)は最も一般的で利用者の多い就労ビザの一つです。特に横須賀・横浜エリアでは国際企業やIT関連企業が増加していることから、このビザで働く外国人技術者も年々増加しています。
しかし、このビザで「どんな仕事ができるのか」「転職は可能なのか」「更新条件は何か」といった疑問を持つ方も多いでしょう。日本の入管法は複雑で、誤った理解は思わぬトラブルを招くことがあります。
この記事では、技術・人文知識・国際業務ビザを持つ方が知っておくべき基本情報から、具体的にできる仕事、転職時の注意点、ビザ更新の条件まで、わかりやすく解説します。
この記事を読むとわかること
- 技術・人文知識・国際業務ビザの基本的な仕組み
- このビザで働ける仕事の範囲と具体例
- 転職時の注意点と在留資格への影響
- ビザ更新に必要な条件と準備すべきこと
- 長期的なキャリアプランの立て方
- 1. 技術・人文知識・国際業務ビザとは?基本を理解しよう
- 2. 技人国ビザの取得条件の基本情報
- 2.1. 学歴要件
- 2.1.1. 「自然科学または人文知識」の分野で働く場合
- 2.1.2. 「国際業務」の分野で働く場合
- 2.2. 職歴要件
- 2.2.1. 実務経験による専門性の証明
- 2.2.2. 情報処理分野の特例
- 2.3. 報酬基準
- 2.4. 雇用形態
- 3. 技術・知識・国際業務ビザでできる仕事の種類
- 3.1. 「技術」分野でできる仕事と条件
- 3.2. 「人文知識」分野でできる仕事と条件
- 3.3. 「国際業務」分野でできる仕事と条件
- 4. 技術・人文知識・国際業務ビザでの転職に関する注意点
- 4.1. 転職時の在留資格への影響
- 4.1.1. 転職したら就労資格証明書は必要か?
- 4.2. 転職時の「空白期間」について
- 5. まとめ
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技術・人文知識・国際業務ビザとは?基本を理解しよう
技術・人文知識・国際業務ビザは、専門的な知識や技術を持つ外国人が日本で働くための在留資格です。2015年4月に「技術」と「人文知識・国際業務」が統合され、現在の形になりました。
このビザの最大の特徴は「専門性」にあります。日本の大学で学ぶレベル(4年制大学相当)の専門知識や10年以上の実務経験(国際業務は3年)が必要とされる職種が対象になります。言い換えれば、「単純労働=ブルーカラー」とされる仕事はこのビザではできないということです。
*2019年から単純労働とされる分野も一部開放されました
在留期間は「5年」「3年」「1年」「3ヶ月」のいずれかで、通常は最初の申請では1年が付与されることが多いです。その後の実績によって、更新時に長い期間が認められるケースもあります。
技人国ビザの取得条件の基本情報
技人国ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ)の取得には、いくつかの重要な条件があります。このビザは外国人材が日本で専門的な仕事に従事するための在留資格ですが、その取得には以下のような明確な基準があります。
学歴要件

「自然科学または人文知識」の分野で働く場合
- 大学卒業
大学で従事予定の業務に関連する分野を専攻し卒業していることが求められます。たとえば、ITエンジニアとして就労するなら、コンピュータサイエンスや情報工学などの学位が該当します。重要なのは単なる大学卒業ではなく、現在の職種や希望する仕事内容と専攻分野の間に明確な関連性があることです。 - 専修学校の専門課程修了
日本の専修学校において、従事予定の業務に関連する専門課程を修了していることも要件となります。ただし、すべての専門課程が認められるわけではなく、法務大臣が告示で定める特定の要件を満たした課程であることが条件です。
「国際業務」の分野で働く場合
- 翻訳、通訳、語学の指導に従事する場合には、”大学を卒業していれば専攻分野にかかわらず” 技人国のビザを取得可能。
職歴要件
実務経験による専門性の証明
- 10年以上の実務経験
学歴要件を満たさない場合でも、該当業務に関連する分野で10年以上の実務経験があれば、専門性が認められます。これは学歴だけでなく、実際の仕事を通じて培った専門知識や技術も正当に評価する仕組みです。(国際業務の分野であれば、該当業務に関連する分野で3年以上の実務経験があれば条件を満たします)
情報処理分野の特例
特定の試験合格・資格保有
情報処理に関する業務に従事する場合、法務大臣が告示で定める情報処理技術に関する試験に合格している、または特定の資格を有している場合は、上記の学歴・職歴要件が免除されることがあります。
参考:出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件
報酬基準
- 日本人と同等以上の報酬を受けること
報酬面においても、日本人と同等以上の給与水準であることが条件となります。これは外国人労働者の権利を守るとともに、不当な低賃金労働を防ぐための重要な基準です。
雇用形態
- 日本に住所のある会社との契約
- 契約の種類は常勤の正社員と明記されていないため、「委任契約」「請負契約」「業務委託契約」であってもビザが出る可能性はあります。Aしかし実際には1年以上の常勤雇用契約により就労する場合の方がスムーズに許可される傾向があります。
参考:出入国在留管理庁|該当する活動・上陸許可基準について
技術・知識・国際業務ビザでできる仕事の種類

技術・人文知識・国際業務ビザは大きく3つの分野に分かれています。それぞれの分野で具体的にどのような仕事ができるのか見ていきましょう。
「技術」分野でできる仕事と条件
「技術」の在留資格は、理系や工学系の専門知識を活かす職業のために設けられた制度です。この資格は、科学技術の分野で培った知識や技能を日本社会で発揮するための扉を開くものといえるでしょう。
どのような職種が対象となるのでしょうか。代表的なものとしてまず挙げられるのは、ITエンジニアやプログラマーといったデジタル技術の専門家です。さらに、ネットワークエンジニア、機械・電気設計者、建築・土木技術者(設計業務に限ります)、製造業における技術系の職種なども含まれます。
代表的な職種:
- ITエンジニア(システム開発、プログラミング)
- ネットワークエンジニア
- 機械・電気設計者
- 建築・土木技術者(設計業務)
- 製造業の技術系職種
この資格を得るための条件として、原則的には理工系の大学または専門学校の卒業が求められます。そして最も重要なのは、学んだ専門分野と実際に従事する業務との関連性です。たとえば、コンピュータサイエンスを専攻した方がプログラマーやシステムエンジニアとして働くケースは、まさにこの資格の理想的な活用例といえるでしょう。
「人文知識」分野でできる仕事と条件
人文知識分野は、人文科学(文系)の専門知識を活かした職種が対象です。
代表的な職種:
- 経営・管理業務
- 会計・財務担当
- マーケティング担当
- 企画・調査業務
- デザイナー(産業デザイン)
- 教育関係(語学教師を除く)
例えば、経営学を専攻した場合、企業の経営企画部門や人事部門で働くことができます。
人文知識分野では、「専攻分野との関連性」の証明が時に難しいケースがあります。例えば、文学部出身者がマーケティング業務に従事する場合、その関連性を説明する必要があります。このような場合は、大学での履修科目や卒業論文のテーマなども重要な証拠になりますので、事前に準備することをお勧めします。
「国際業務」分野でできる仕事と条件
国際業務分野は、外国の文化に基づく思考・感受性を必要とする業務や、外国語の能力を活かした業務が対象です。
代表的な職種:
- 通訳・翻訳
- 外国語を使用する営業職
- 海外取引業務
- 外国人向けサービスの提供
- 外国語教師(英会話教師など)
例えば、中国語と日本語が堪能な方が、日中間の貿易業務や通訳として働く場合が該当します。したがって、単に外国語ができるというだけでは不十分で、日本語とその対象の言語を実際に業務で使用することが条件となります。
国際業務は他の分野と比べて認定のハードルがやや低いケースもありますが、「単なる接客や事務作業に外国語を使うだけ」という場合は認められないことが多いです。実質的な通訳・翻訳業務や海外との取引業務などが求められます。
技術・人文知識・国際業務ビザでの転職に関する注意点
キャリアアップのために転職を検討する外国人の方も多いでしょう。ここでは、技術・人文知識・国際業務ビザを持ちながら転職する際の注意点を解説します。
転職時の在留資格への影響
技術・人文知識・国際業務ビザで日本に滞在している方が転職する場合、基本的に所属機関の変更の届出をすれば終わりです。これは、同じ在留資格の範囲内(例:ITエンジニアから別のITエンジニア職へ)での転職であれば、新たな在留資格の申請手続きが不要だからです。
- 離職の届出:前の会社を退職後、14日以内に出入国在留管理局に「所属機関等に関する届出」を提出する必要があります。届出はオンライン(在留管理庁の電子届出システム)または最寄りの入管窓口で可能です。
- 就職の届出:新しい会社に就職後、14日以内に同様の届出を提出します。雇用契約書や職務内容を証明する書類を準備しておくとスムーズです。
これらの届出を怠ると、ビザ更新や在留資格変更の審査で不利になる可能性があるため、期限を守りましょう。届出を正確に行うことで、在留状況を透明に保てます。
転職したら就労資格証明書は必要か?
「就労資格証明書」の取得は必須ではありません。就労資格証明書は、外国人本人が転職先での職務内容が在留資格に適合しているかを事前に入国管理局が審査し、証明するものです。したがって、就労資格証明書を取得しておくと、ビザ更新時の在留資格適合性の確認がスムーズになり、安心感が得られます。
ただし、ビザ更新の許可は申請時の状況に依存するため、証明書があっても更新が保証されるわけではありません。
また、就労資格証明書は外国人本人だけでなく、雇用する企業にとっても、適法に外国人を雇用していることを確認するための重要な書類と考えられています。
転職時の「空白期間」について
転職時に気になるのが「会社を辞めてから次の就職先が決まるまでの期間」についてです。
結論から言うと、技術・人文知識・国際業務ビザの場合、3ヶ月程度の空白期間であれば、適切な就職活動を行っていれば問題視されにくい傾向があります。ただし、この期間について法律で明確に定められているわけではないため、できるだけ短期間にとどめることをお勧めします。
- 活動実態の証明: 空白期間中も「就職活動をしていた」という実態を証明できるようにしておく。(面接の記録、応募履歴、企業とのメールのやりとり、求人サイトの登録記録など)
- 生活費の証明: 生活費の証明(貯蓄の証明など)が求められる場合があるため、準備しておくと安心です。
- 在留期限の確認: ビザの残存期間が短い場合は特に注意が必要で、就職先が決まっていない状態での更新申請は難易度が上がる場合があります。
まとめ
技術・人文知識・国際業務ビザは、専門性を持つ外国人にとって日本でのキャリア構築の基盤となる重要な在留資格です。この記事でご紹介した内容をまとめると:
- できる仕事の範囲:技術分野、人文知識分野、国際業務分野の3つに大別され、それぞれの専門性に応じた仕事に従事できます
- 転職について:同じビザの範囲内であれば比較的自由に転職が可能ですが、離職・就職の届出は忘れずに行いましょう
- 業種変更:専門性と学歴・職歴との関連性が証明できれば、ビザ内の異なる分野への転職も可能です
- 空白期間:適切な就職活動を行っていれば問題視されにくい傾向がありますが、就職活動の実態を証明できるようにしておくことが重要です
技術・人文知識・国際業務ビザは、使い方次第で日本での長期的なキャリア構築を可能にする柔軟性の高いビザです。特に横須賀・横浜エリアは国際色豊かな環境で、このビザを活かせる就労機会も豊富です。
ビザに関する疑問や不安がある場合は、一人で悩まず専門家に相談することをお勧めします。正確な情報に基づいた判断が、あなたの日本でのキャリアの可能性を広げることにつながります。
▼この記事は主に以下の資料を基に執筆しました
参考資料:在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁

中尾幸樹
「お客様一人ひとりの人生に寄り添う」を理念に掲げる当事務所は、神奈川県逗子市を拠点とする行政書士事務所です。特に力を入れているのが、特定技能制度に関する国際業務。地域に密着しながら、外国人材の受け入れをお考えの企業様のサポートを行っています。
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