【配偶者ビザ】申請に必要な条件や書類、基礎知識を解説

お知らせ

「配偶者ビザ」は、正しくは「日本人の配偶者等という在留資格の一種で、ビザではありません

この記事では外国人の皆様に ”より制度を理解してもらうことを目的” としているため、”あえて” 「配偶者ビザ」という言葉で執筆しています

配偶者ビザとは

配偶者ビザを取得できる人

配偶者ビザの在留資格は、日本人と国際結婚した外国人や、日本人の実子として生まれた人が入国管理局に申請をすることで取得できます。

*日本は血統主義を採用しているため、両親の片一方が日本人であればその子は日本の国籍を取得することができます。

具体的には下記のような人たちが対象となります。

  • 日本人の配偶者(夫または妻)
  • 日本人の子供(実子)
  • 特別養子縁組による日本人の養子
注意

配偶者には内縁の妻・夫は含みません。法律で結婚が認められている人のみが対象です。


特別養子縁組は民法817条の規定によります。

特別養子縁組と養子縁組との違いについて

特別養子縁組と養子縁組の違い

特別養子縁組と養子縁組には重要な違いがあります:

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項目特別養子縁組養子縁組
法的な親子関係実の子と同じ法的地位。
実親との法的関係は完全に切れる。
養親子関係ができるが、実親との法的関係も残る。
戸籍の記載実子として戸籍に記載される。養子であることが戸籍に記載される。
解消の難しさ原則として解消できない。合意があれば解消可能。
在留資格への影響「日本人の配偶者等」の在留資格を取得できる。在留資格の取得に直接の影響なし。
手続きの複雑さ家庭裁判所の審判が必要。比較的複雑。当事者の合意と届出で成立。比較的簡単。
実親の同意原則として実親の同意が必要。
ただし、一定の場合は不要。
養子が未成年の場合、実親の同意が必要。
日本の特別養子縁組制度についての説明と比較

申請できる人

配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の申請は、

  • 申請者本人
  • 日本に住んでいる本人の親族
  • 申請取次行政書士、弁護士
  • 法定代理人

*親族の範囲は民法725条に規定されておりが、一般的には結婚相手である日本人の夫や妻がすることが多いでしょう。

*法定代理人(親権者・未成年後見人・成年後見人)

在留期間と活動制限

在留期間は 5年 ・3年 ・1年 ・6か月 の4つからとなります。

この在留資格の特徴は日本での活動にほとんど制限がありません。具体的には

  • 好きな仕事ができる(就労制限がない)
  • フルタイムで働ける(時間の制約がない)
  • 学校に通える(他の在留資格に切り替える必要がない)

やりたい仕事をしたり、勉強したり、他の日本人や永住者と同様に自由に活動できます。

配偶者ビザの申請の種類と必要書類

配偶者ビザは主に次の2つのパターンで分かれます

  1. 申請人が外国人で日本人の配偶者がいるとき
  2. 申請人が外国人で日本人の実子(こども)又は特別養子の場合

在留資格認定証明書交付申請(COE)

申請人の外国人が新たに配偶者ビザを取得して日本に移り住む為に必要な証明書です。
在留資格認定証明書は日本での在留許可を証明するものです。取得後は在外公館(母国の日本大使館)でビザ(査証)を取得し入国します。

例えばこんなひと

留学ビザで日本に滞在中に出会った日本人と交際。卒業後に一旦帰国。両国で結婚。日本で一緒に生活を始めようと思ったときなど

在留資格認定証明書交付申請書1通指定のウェブサイトからダウンロード可能
写真1葉指定の規格を満たしたもの。申請書に直接印刷も可
配偶者(日本人)の戸籍謄本(全部事項証明書)1通申請人との婚姻事実の記載があるもの
申請人の国籍国発行の結婚証明書1通外国機関発行。一部の国は戸籍謄本でも可
滞在費用証明資料各1通住民税課税証明書、納税証明書など
配偶者(日本人)の身元保証書1通指定のウェブサイトからダウンロード可能
配偶者(日本人)の住民票の写し1通世帯全員の記載があるもの。マイナンバーは省略
質問書1通多言語版がダウンロード可能
夫婦間の交流確認資料2~3葉スナップ写真、SNS記録、通話記録など
返信用封筒1通宛先明記、必要な額の切手(簡易書留用)貼付
参考サイト:出入国在留管理庁ー在留資格「日本人の配偶者等」

在留資格変更許可申請

既にほかの在留資格で日本に滞在されている方が、「日本人配偶者」のビザに変更を希望する場合の申請です。

例えばこんなひと

技術・人文知識・国際業務の資格で在留している外国人の方が日本人と結婚、配偶者ビザへ変更するときなど。
技人国では専門分野でしか働けないが、配偶者ビザでは就労の制限がなくなるので好きに仕事を選べるのが特徴です。

必要書類部数説明
在留資格変更許可申請書1通指定のウェブサイトからダウンロード可能
写真1葉指定規格を満たすもの。16歳未満は不要
配偶者(日本人)の戸籍謄本(全部事項証明書)1通婚姻事実の記載があるもの。発行後3か月以内
申請人の国籍国の結婚証明書1通外国機関発行。一部の国は戸籍謄本でも可
日本滞在費用証明資料各1通住民税課税証明書、納税証明書など。発行後3か月以内
配偶者(日本人)の身元保証書1通指定のウェブサイトからダウンロード可能
配偶者(日本人)の住民票の写し1通世帯全員の記載。マイナンバー省略。発行後3か月以内
質問書1通多言語版がダウンロード可能。新様式での提出必要
夫婦間の交流確認資料2~3葉スナップ写真、SNS記録、通話記録など
パスポート提示申請人以外が提出する場合も必要
在留カード提示申請人以外が提出する場合も必要
参考サイト:出入国在留管理庁ー在留資格「日本人の配偶者等」

在留期間更新許可申請

既に配偶者ビザをお持ちの方で、その更新をする場合の申請です。

例えばこんなひと

配偶者ビザで日本で生活していて将来的には永住権を申請したいと思っているひと

必要書類部数説明
在留期間更新許可申請書1通指定のウェブサイトからダウンロード可能
写真1葉指定規格を満たすもの。16歳未満は不要
配偶者(日本人)の戸籍謄本(全部事項証明書)1通申請人との婚姻事実の記載があるもの
滞在費用証明資料各1通住民税課税証明書、納税証明書など。申請人が自己負担の場合は申請人の証明書
配偶者(日本人)の身元保証書1通指定のウェブサイトからダウンロード可能
配偶者(日本人)の住民票の写し1通世帯全員の記載。マイナンバー省略
パスポート提示申請人以外が提出する場合も必要
在留カード提示申請人以外が提出する場合も必要
参考サイト:出入国在留管理庁ー在留資格「日本人の配偶者等」

在留資格取得許可申請

日本の国籍を離脱した人や出生等により、通常の上陸手続きを経ることなく日本に在留することになった外国人が、60日以上日本に滞在する場合の申請です。

例えばこんなひと

日本人妻と外国籍夫の間に生まれた子供が、出生時に夫の国の国籍を選択した時などで外国人として扱われるときなど

必要書類部数説明
在留資格取得許可申請書1通指定のウェブサイトからダウンロード可能
写真1葉指定規格を満たすもの。16歳未満は不要
事由を証する書類1通国籍離脱、出生、その他事由により異なる
配偶者(日本人)の戸籍謄本1通婚姻事実の記載があるもの。発行後3か月以内
申請人の国籍国の結婚証明書1通外国機関発行。一部の国は戸籍謄本でも可
滞在費用証明資料各1通住民税課税証明書、納税証明書など。発行後3か月以内
配偶者(日本人)の身元保証書1通指定のウェブサイトからダウンロード可能
配偶者(日本人)の住民票の写し1通世帯全員の記載。マイナンバー省略。発行後3か月以内
質問書1通多言語版がダウンロード可能。新様式での提出必要
夫婦間の交流確認資料2~3葉スナップ写真、SNS記録、通話記録など
パスポート提示申請人以外が提出する場合も必要
参考サイト:出入国在留管理庁ー在留資格「日本人の配偶者等」
POINT

配偶者ビザというのは身分による在留資格であり、他の在留資格と比較して様々な自由が与えられます。入国管理局では偽装結婚や虚偽申請を厳しく審査する傾向にあります。何よりも大切なことは嘘偽りがないこと、正確に書類を作成する事、そして夫婦間の交流を示す資料の作成がポイントとなります。とても大切な手続きです、決して安易に考えず、専門家を頼ることをお勧めいたします。

配偶者ビザ取得の流れ

配偶者ビザの申請から入国までの流れを海外に住む配偶者を呼び寄せる「在留資格認定証明書交付申請」を例にご紹介します。

国際結婚の手続きをする
日本で結婚の手続きを完了させます。相手の国によっては結婚の手続きが異なるため確認が必要です。相手国の法律で入信が必須となっている国もあります。
paperwork
配偶者ビザ取得に必要な書類を準備する
必要書類を準備しましょう。
特に婚姻の証明、継続性の証明がこの申請でのポイントとなります。
不安な方は申請取次資格を持つ行政書士に依頼しましょう。
管轄の出入国在留管理局に申請する
書類を揃えたら、住所を管轄する出入国在留管理局へ提出します。
オンラインでの申請も可能となっていますが、個人の方にはハードルが高いでしょう。また、海外から申請することはできません。
審査結果の通知
審査の結果通知は数週間から3ヶ月程度時間がかかります。1〜3ヶ月程度かかるケースが多いでしょう。
在留資格認定証明書(COE)を海外の住所へ送付
在留資格認定証明書(COE)が発行されたら、外国人の夫・妻の住む海外の住所へ送付します。
international mail
VISA(上陸許可)の取得
在留資格認定証明書(COE = Certification of Eligibility)を持って、日本領事館へ行きビザを取得します。
来日
ビザの有効期限は発給後3ヶ月間となっているのでCOEの取得からビザ発給、日本への入国のタイミングを把握しておきましょう。
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4. 「日本人の配偶者等」のメリット

「日本人の配偶者等」の在留資格は他の資格と比べ様々なメリットがあります
主に以下の点がメリットとして考えられます。

4-1. 就労の自由

4-2. 活動の自由度

最長5年の在留期間が認められるので、長期的な計画を立てやすいでしょう。
また期間の延長も可能なので長期間日本に滞在することが可能になります。

4-3. 永住権取得への近道

永住権申請の条件として通常は10年以上の滞在がありますが、配偶者ビザがあれば3年に短縮することができます

4-4. 収入要件がない

また、家族滞在のビザでは被扶養者(日本人)が家族を安定して生活させられるだけのお金を稼ぐことが出来るかを要件として審査しますが、「日本人の配偶者等」の在留資格には扶養者の収入面での要件がありません。ただし全く稼ぎがない場合など極端なケースでは滞在費用を証明することが出来ない為、不利に働くでしょう。

「日本人の配偶者等」のデメリット

配偶者との関係に依存

この在留資格は配偶者との関係が続いていることが前提です。
離婚や別居の場合、技人国などの就労ビザや定住者(離婚ビザ)へ変更が必要になります。

定期的な更新の必要性

永住権とは違い、定期的に更新が必要です。
更新時には、婚姻関係が継続していることを証明する必要があります

「日本人の配偶者等」から永住権へ

日本人の配偶者をもつあなたへの優遇措置

日本人の配偶者がいる場合、優遇措置があり以下の要件を満たせば在留期間が短くても申請が可能です

永住権の優遇措置

  • 日本人、永住者、特別永住者の配偶者である事
  • 実態の伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ日本に引き続き1年以上在留している事
  • その実子の場合、1年以上日本に継続して在留している事

参考:一般的な永住権申請の条件

一般的に、以下の条件を満たすと永住権申請ができます

  • 10年以上継続して在留している(内5年以上は就労、身分系で在留)
  • 素行が良好である
  • 独立して生計を維持できる
  • 日本国の利益に合すると認められる

永住権についてもっと詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。

【永住権】ビザの更新はもう不要です|日本での取得条件を徹底解説

日本の永住権申請に関する包括的ガイド。基本条件、特例条件、申請手順、必要書類、審査過程を詳説。外国人が知っておくべき重要ポイントを分かりやすく解説。長期滞在を目指す方必見。

7. よくある質問(FAQ)

「日本人の配偶者等」の在留資格で起業できますか?

はい、できます。
この在留資格では就労に制限がないので、起業も可能です。

子供が生まれたら、子供の在留資格はどうなりますか?

日本で生まれた子供が日本国籍を取得しない場合、「日本人の配偶者等」の在留資格を取得できます。
生まれてから30日以内に在留資格取得許可申請をおこなってください。

離婚したら、すぐに帰国しなければいけませんか?

すぐに帰国する必要はありませんが、配偶者ビザでの滞在は出来ない為、離婚後30日以内に在留資格の変更が必要になります。ただし、60日間までは在留資格なしで滞在可能なのでその間に出国しなくてはなりません。

長年、日本で生活をしていたり、子供がいる場合には特別に考慮される場合があり個々の状況に応じて判断されます。
お困りごと一人で悩まず当事務所へご相談ください。

永住権を取得したら、「日本人の配偶者等」の在留資格は必要ありませんか?

その通りです。
永住権を取得すれば、「日本人の配偶者等」の在留資格は必要なくなります。むしろ永住権は配偶者との婚姻関係に左右されずに安定した生活を送ることができるので、日本に長くいたい場合には優遇措置のある日本人の配偶者の身分を使い、永住権取得を目指すのがお勧めです。

まとめ

「日本人の配偶者等」の在留資格は、日本人と結婚した外国人が日本で生活するための重要な許可です。

このページでの主なポイントは、

  • 配偶者ビザ(正式名称:日本人の配偶者等)は、日本人と結婚した外国人が日本で自由に活動できる在留資格です。
  • 取得対象は日本人の配偶者、日本人の実子、特別養子縁組による日本人の養子です。
  • 在留期間は5年、3年、1年、6か月、就労や活動にほとんど制限がありません。
  • 必要書類には、申請書、写真、戸籍謄本、結婚証明書、滞在費用証明資料、身元保証書などが含まれます。
  • 申請の種類には、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請、在留資格取得許可申請の4種類があります。
  • 永住権取得への近道となり、通常10年の滞在要件が3年に短縮されます。
  • 偽装結婚防止のため、夫婦間の交流を示す資料の提出が重要です。
  • 離婚や別居の場合、在留資格の取り消しや変更が必要となる場合があります。

申請にはさまざまな条件と膨大な必要書類があり、とても大変です。申請が不許可になってしまうと、日本での生活を始めることができず、気持ち的にも不安定になりがち。慣れない書類の作成や、正解のない理由書作りいくらやっても不安ではありませんか

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