【資格外活動ビザ】外国人の家族も働ける!手続きの流れ特徴と申請のコツ
家族滞在の在留資格をお持ちの方が、日本で働きたい場合には「資格外活動許可」が必要です。この許可には、週28時間以内の就労を認める「包括許可」と、それ以外の活動を個別に審査する「個別許可」があります。家族の生活を支えるために働きたい外国人の方々に、わかりやすく手続きを解説します。
1. 家族滞在の在留資格とは
家族滞在の在留資格は、日本に住む外国人の扶養する配偶者や子どもが、一緒に日本で暮らすために与えられる資格です。
この資格を持つ人は、基本的に日本での就労が認められていません。でも、生活のために働く必要がある場合もありますよね。
そんなときに必要になるのが「資格外活動許可」なのです。
2-1. 許可の基本要件
資格外活動許可を得るには、以下の条件を満たす必要があります:
- 現在の在留資格の活動(就職活動)を妨げないこと
- 就職活動を実際に行っていること
- 申請する活動が他の在留資格に該当すること(特定技能と技能実習を除く)
- 日本の法律に違反する活動ではないこと
- 入国管理局から収容令書や意見聴取通知を受けていないこと
- 素行が良好であること
- 所属機関の同意が必要
これらの条件は申請の最低条件なので、それを満たさないと資格外活動は許可されません。
↓は出入国在留管理庁の状況一般原則の原文です。
資格外活動許可の要件(一般原則)
以下の要件のいずれにも適合する場合に資格外活動を行う相当性が認められ、許可されます。(1) 申請人が申請に係る活動に従事することにより現に有する在留資格に係る活動の遂行が妨げられるものでないこと。(2) 現に有する在留資格に係る活動を行っていること。(3) 申請に係る活動が法別表第一の一の表又は二の表の在留資格の下欄に掲げる活動(「特定技能」及び「技能実習」を除く。)に該当すること。(注)下記2(1)の包括許可については当該要件は求められません。(4) 申請に係る活動が次のいずれの活動にも当たらないこと。ア 法令(刑事・民事を問わない)に違反すると認められる活動イ 風俗営業、店舗型性風俗特殊営業若しくは特定遊興飲食店営業が営まれている営業所において行う活動又は無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業若しくは無店舗型電話異性紹介事業に従事して行う活動(5) 収容令書の発付又は意見聴取通知書の送達若しくは通知を受けていないこと。(6) 素行が不良ではないこと。(7) 本邦の公私の機関との契約に基づく在留資格に該当する活動を行っている者については、当該機関が資格外活動を行うことについて同意していること。
2.1 資格外活動許可の必要性
資格外活動許可は、本来の在留資格では認められていない活動を行うための特別な許可です。
家族滞在の方が日本で働くためには、この許可が必ず必要になります。
許可なしで働くと、在留資格取り消しの対象になる可能性があるので注意しましょう。(入管法第22条の4)
3. 包括許可について
包括許可は、週28時間以内の就労を認める許可です。多くの場合、この許可で十分な働き方ができます。
3.1 包括許可の対象となる活動
包括許可で認められる活動は以下の通りです:
- 週28時間以内のアルバイトやパートタイム
- 労働雇用契約に基づく管理者としての仕事(時間が明確な場合)
- 個人事業主として配達などの仕事(稼働時間が確認できる場合)
注意点:個人事業主の場合でも、稼働時間が確認できない仕事は個別許可が必要になります。
3.2 包括許可の申請方法
包括許可の申請は比較的簡単です。以下の手順で行います:
- 出入国在留管理局のウェブサイトから申請書をダウンロード
- 必要事項を記入
- 最寄りの出入国在留管理局に申請書を提出
必要書類は申請書のみです。
追加の書類は基本的に不要ですが、状況によっては求められる場合もあります。
4. 個別許可について
個別許可は、包括許可の範囲を超える活動や、特殊な就労形態に対して与えられる許可です。
4.1 個別許可が必要な場合
以下のような場合に個別許可が必要になります:
- 個人事業主として稼働時間が不明確な仕事をする場合
- 業務委託契約や請負契約で働く場合(労働時間が明確でない場合)
個人事業の場合には、アルバイトのように雇用主側での時間管理がなされて以内場合が殆どです。
そういった場合にはその仕事に対しての個別の許可が必要となります。
逆に、労働時間が明確であれば包括許可の手続きで問題ありません。
4.2 個別許可の申請方法
個別許可の申請には、以下のような書類が必要です:
4.2-1 個別許可(包括許可の範囲外の活動に従事する場合)
- 資格外活動許可申請書
- パスポート
- 在留カード
- 活動内容や活動時間,報酬等について説明する文書(雇用契約書など)
4.2-2 個人事業の場合
- 資格外活動許可申請書
- パスポート
- 在留カード
- 当該事業の運営に係る計画について説明する文書
*事業計画書などで、今後の事業の推移予測や、収支のシュミレーションなど具体性を持たせた計画書があると良いでしょう。
4.2-3 業務委託契約や請負契約等で働く場合
- 申請書
- 当該契約内容について説明する文書(任意の様式)
*活動の内容を明らかにする書類とは雇用契約書の写し、業務委託契約書の写し等
注意点:個別許可は、在留期間の半分を超えない範囲で認められます。
また、活動がすでに本来持つ在留資格の割合よりも多くなっている場合には在留資格の変更が必要になる場合もあります。
5. 注意点とよくある質問
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包括許可と個別許可の両方を持つことはできますか?
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はい、可能です。既にどちらかの許可を持っている方が、追加でもう一方の許可を申請することもできます。
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「特定活動」の在留資格でも同じ手続きが必要ですか?
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原則として、「家族滞在」の在留資格に準じた取り扱いとなります。
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28時間以内で扶養金額の上限が超えそうだけど平気ですか?
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そもそも家族滞在とは「在留資格を持つ外国人の扶養する配偶者またはその子」と対象者を限定しています。
年収130万円を超えるとビザの更新が困難になる場合があります。また、税制上の扶養の基準は年収103万円以下で、この基準を超えると扶養控除の対象外になります。
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新しく会社を作りたい場合はどうすればいいですか?
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新たに法人を設立する場合や、従業員を雇用する場合、事業所を設けて活動する場合などは、「経営・管理」の在留資格への変更が必要になります。
6. まとめ
家族滞在の在留資格で日本に暮らす方が働くためには、資格外活動許可が必要です。週28時間以内の通常の就労なら包括許可、それ以外の場合は個別許可を申請しましょう。手続きは複雑に見えるかもしれませんが、一つ一つ確認しながら進めれば大丈夫です。不安な点があれば、専門家に相談するのも良いでしょう。正しい手続きを踏んで、安心して働ける環境を整えましょう。