【永住権】ビザの更新はもう不要です|日本での取得条件を徹底解説
日本での長期滞在を考えている外国人の方々にとって、永住権の取得は大きな目標の一つです。永住権があれば、在留期間の制限なく日本に住み続けることができ、仕事の制限もありません。だから、より安定した生活を送れます。しかし、永住権の申請手続きは複雑で、多くの条件を満たす必要があります。この記事では、永住権許可申請の基本的な情報と申請方法について、わかりやすく説明します。永住権取得を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
- 1. 1. 永住権とは何か?
- 2. 2. 永住権申請の基本条件
- 2.1.1.1. 2.3-1 在留期間の要件
- 2.1.1.2. 2.3-2 犯罪歴や素行に係る要件
- 2.1.1.3. 2.3-3 最長の在留期間をもっていること
- 2.1.1.4. 2.3-4 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
- 3. 3. 永住権申請の特例条件
- 3.1. 3.1 日本人や永住者の配偶者・子供の場合
- 3.2. 3.2 高度人材外国人の場合
- 3.3. 3.3 定住者
- 3.4. 3.4 難民、補完的保護対象者認定を受けた人
- 3.5. 3.5 我が国への貢献が認められた人
- 4. 4. 永住権申請の手続き
- 4.1. 4.1 申請書類の準備
- 4.2. 4.2 申請の仕方と受付場所
- 4.3. 4.3 申請手数料
- 5. 5. 永住権申請後の流れ
- 5.1. 5.1 審査期間
- 5.2. 5.2 審査結果の通知
- 6. 6. 永住権取得後の注意点
- 7. 7. まとめ
1. 永住権とは何か?
永住権は、外国人が日本に無期限で滞在できる権利です。永住権の主な特徴は:
- 在留期間の制限がないため在留期限の更新が不要
- 就労に制限がないのでどんな仕事でも自由にできる
- 在留資格「永住者の配偶者等」を取得すれば配偶者の就労制限も無くなる
- より安定した日本での生活を送れるようになる
永住権は、日本での長期滞在を考えている外国人にとって、とても魅力的な在留資格です。
ただし、取得するには厳しい条件があり、慎重な審査が行われます。(入管法22条)
2. 永住権申請の基本条件
永住権を申請するには、いくつかの基本条件を満たす必要があります。
これらの条件は、申請者が日本社会に適応し、貢献できる人物であることを確認するためのものです。
法律上の要件は大きく3つに分けられています。
まずは、要件を確認しその中身を見ていきましょう。
3つの要件その1
素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
3つの要件その2
独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
3つの要件その3
その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
具体的には下記の4点を抑える必要があります。
2.3-1 在留期間の要件
基本的に、日本に10年以上住んでいることが求められます。
ただし、この 10年のうち、5年以上は就労資格か居住資格で在留している必要があります。
例えば:「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で7年 「留学」の在留資格で3年 このような組み合わせで、
合計10年以上の在留期間があれば、この条件を満たします。(入管法施行規則別表第2)
2.3-2 犯罪歴や素行に係る要件
罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。
公的義務を適正に履行していること。具体的には:
- 納税をしている
- 年金や医療保険料を払っている
- 法律に基づく届け出義務をしっかりとやっている
住所変更や在留カードの更新忘れには気をつけましょう。届出義務の不履行となる恐れがあります。
また、税金や保険、年金に未納が過去にある場合は永住権の取得は難しくなるでしょう。
2.3-3 最長の在留期間をもっていること
今持っている在留資格で最長の在留期間をもっていなくてはなりません。
在留資格により異なりますが就労系の在留資格だと5年というものが多いでしょう。
*令和6年7月現在、在留期間 3年をもっていることで最長期間を持って在留しているものと取り扱われています。
2.3-4 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
違法薬物や覚醒剤等、麻薬の中毒者出会ったり感染症患者でないことが必要です。
3. 永住権申請の特例条件
一般的な条件のほかに、特別な条件で永住権を申請できる場合があります。
3.1 日本人や永住者の配偶者・子供の場合
日本人、永住者、特別永住者の配偶者や子供は、特別な条件で申請できます。
配偶者の場合:結婚生活が3年以上続いており、継続して日本に1年以上住んでいること
子供の場合:継続して日本に1年以上住んでいること
上記の場合、先に紹介した3つの要件のうち1番の「素行」と2番の「生計」の要件は適用されません。
ただし、本当の結婚であることや、子供との関係を証明する必要があります。(入管法施行規則別表第2)
3.2 高度人材外国人の場合
高度な専門知識や技術を持つ外国人は、「高度人材ポイント制」で早く永住権を取得できます。
- 70点以上:3年間の在留で申請可能
- 80点以上:1年間の在留で申請可能
ポイントは、学歴、職歴、年収などで計算されます。
これは高度な能力を持つ人材を日本に呼び込むための制度です。
(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令)
3.3 定住者
定住者の在留資格取得後5年以上日本に在留していること
3.4 難民、補完的保護対象者認定を受けた人
上記の認定を受けた後、継続して5年以上日本に在留している人
3.5 我が国への貢献が認められた人
特定の活動が我が国への貢献があると認められる者について、通常の10年でなく3年間日本に在留することで申請を可能とした。この特例についてはガイドラインが出ておりますので、出入国在留管理庁のHPをご覧ください。ただ、該当する人はかなり少なくハードルが高いでしょう。
4. 永住権申請の手続き
申請者は自分の経歴や申請の要件をクリアしている点を、全てひとつずつ書類で証明していかなくてはなりません。そのため永住権の申請手続きは、書類の収集や作成、全てにおいて複雑で時間がかかります。
万が一書類に不足があり、それが原因で要件をクリアしていないと判断された場合には不許可になるリスクがあります。また、不許可後の再申請というのは、基本的には難易度があがるものと思っておいて良いでしょう。
しっかりと準備をして臨みましょう。
4.1 申請書類の準備
主な必要書類は申請者の状況により異なります。ここでは代表的な書類の説明をしますが、個々のケースについては当事務所のお問い合わせフォームからご相談いただくか、入国管理局に確認するのが良いでしょう。
例えばこんな書類が必要になります。
- 永住許可申請書
- 写真(4X 3cm)
- 理由書
- 申請人を含む家族全員の
住民票 - 戸籍謄本、婚姻証明書、出生証明書、認知届など
- 在籍証明書、確定申告書控え、営業許可の写しなど
- 住民税の課税証明書5年分
- 住民税の納税証明書5年分
- 住民税支払いを証明できるもの5年分
- 源泉所得税及び復興特別所得税納税証明書
- 申告所得税及び復興特別所得税納税証明書
- 消費税、地方消費税納税証明書
- 国民年金保険料領収書2年分
- 身元保証書
- 身元保証書に係る資料
など
各申請人の在留資格や身分により提出する書類の必要期間が2年分から5年分と変動します。集めなくてはならない書類が非常に多いのが永住権申請の特徴です。
先にも述べましたが、全ての要件をクリアしている点を書類で説明しなくてはなりません。
また永住権申請の目的を綴る「理由書」はこの申請のポイントとなる重要な部分です。
確実に書類を集め、審査において抜けのない書類の準備をすることが必要です。
4.2 申請の仕方と受付場所
申請は、住んでいる地域を管轄する地方出入国在留管理局で行います。 申請できるのは:
- 申請者本人 法定代理人
- 承認を受けた申請取次者(所属機関の職員、弁護士、行政書士など)
受付時間は通常、平日の午前9時から12時、午後1時から4時です。
混雑を避けるため、事前に電話で確認するのがよいでしょう。
4.3 申請手数料
永住許可申請には、8,000円の手数料がかかります。これは収入印紙で支払います。
ただし、在留資格「永住者」の取得(出生などの場合)には手数料はかかりません。(手数料令別表第1の4の項)
5. 永住権申請後の流れ
申請後は、審査結果を待つことになります。
結果が出るまでは長く、不安な時期が続きますが大丈夫です。申請を受理された以上は審査は続いています。
5.1 審査期間
永住許可申請の審査には、通常4ヶ月程度かかります。
ただし、状況によってはもっと時間がかかる場合もあります。
この間に追加の書類や説明を求められることがあるので、連絡がきたらすぐに対応できるようにしておきましょう。
5.2 審査結果の通知
審査結果は、申請した入国管理局から通知されます。
許可された場合には新しい在留カード(在留資格が「永住者」)が発行されます。
不許可の場合にはその理由が書かれた通知が届きます。
不許可の場合でも、条件を改善して再申請することは可能です。(入管法施行規則別表第3)
6. 永住権取得後の注意点
永住権を取得しても、守るべきルールがあります。
- 犯罪を犯さないこと:重大な犯罪を犯すと、永住権が取り消されることがあります。
- 長期間日本を離れない:1年以上日本を離れる場合は、再入国許可が必要です。
- 在留カードの更新:有効期限が切れる前に更新する必要があります。
永住権は一度取得すれば安心、というわけではありません。
令和4年現在、永住権についての改正案が衆議院で検討されています。
今までは永住権を取得後には特別事後の調査は行われてきませんでしたが、収めるべき税金、社会保険料を納めていない場合、日本での生活実態がない場合には永住権を剥奪、退去強制になる可能性があります。
せっかく苦労して取得した日本の永住権、取得後も日本の法律や社会規範を守り、責任ある行動を心がけましょう。
7. まとめ
永住権の取得は、日本での長期滞在を考える外国人にとって大きな目標です。しかし、その申請プロセスは複雑で、多くの条件を満たす必要があります。 主なポイントを振り返ると: 10年以上の在留期間が基本 良好な素行と安定した収入が必要 日本社会への貢献が評価される 特別な条件(配偶者、高度人材)もある 申請から許可まで約4ヶ月かかる 永住権取得を目指す方は、これらの条件をしっかり理解し、計画的に準備を進めることが大切です。不明な点があれば、専門家(行政書士など)に相談するのも良いでしょう。 永住権を取得することで、より安定した日本での生活が可能になります。チャレンジする価値は十分にあるでしょう。