【2024年保存版】特定技能所属機関の4つの基準と3つの義務
外国人材の受け入れ拡大が進む中、特定技能制度への注目が高まっています。しかし、特定技能外国人を受け入れるためには、企業は厳格な基準を満たし、適切な支援体制を整える必要があります。本記事では、受入れ機関として必須の4つの基準と3つの義務について、実務的な観点から詳しく解説。人材不足に悩む企業の方々に向けて、特定技能外国人の受入れに必要な要件と実務上の注意点を、わかりやすく整理してお伝えします。これから特定技能外国人の受入れを検討される方は、ぜひご一読ください。
この記事を読むとわかること
- 特定技能所属機関と受入れ機関の違いと役割
- 受入れ機関として満たすべき具体的な基準と要件
- 特定技能の受け入れ機関が満たすべき4つの基準は
- 特定技能の受け入れ機関が負う3つの義務
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特定技能所属機関(受入れ機関)の基礎
特定技能外国人を受け入れる企業の要件について
特定技能所属機関とは、特定技能外国人と雇用契約を結び、在留資格「特定技能」に基づいて外国人を受け入れる組織のことを指します。法務省の公式用語では「特定技能所属機関」、一般的には「受入れ機関」と呼ばれることが多く、実質的には同じ意味を持ちます。
特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、法務省が定めた基準を満たし、適正な受け入れ体制を整えていることが必要です。企業が必要な基準を満たしていない状態で特定技能外国人を雇用すると、その外国人の在留資格が無効となるだけでなく、企業側も不法就労を助長したとして法的責任を問われる可能性があります。
そのため、特定技能外国人を雇用しようとする企業は、事前に自社が受け入れ基準を満たしているか、適切な雇用契約を結べる体制が整っているか等、4つの基準と3つの義務を十分に確認する必要があります。
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特定技能外国人を受け入れる企業の4つの基準
特定技能外国人を受け入れる企業は以下の4つの基準を備えておかねばなりません。
(クリックするとページ内を移動します)
02
受け入れ機関自体が適切か
03
外国人を支援する体制があるか
04
外国人を支援する計画が適切か
01: 特定技能外国人との雇用契約が適切か
特定技能外国人を雇用する際は、日本人従業員と同等の適正な労働条件を確保することが法律で定められています。
これは単なる理念ではなく、具体的な待遇のすべてに及ぶ重要な原則です。入管法では、特定技能外国人は既に必要な日本語能力試験に合格し、技能試験も通過した人材であると位置づけています。そのため、日本語能力が十分でないという理由で給与を低く設定したり、福利厚生面で不利な扱いをしたりすることは認められません。
同じ職務であれば、国籍に関係なく同等以上の待遇を確保することが求められます。
- 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること
- 所定労働時間が所属機関の他の労働者と同等であること
- 報酬等に関し、日本人が従事する場合と同等以上であること
- 外国人を理由とした報酬、福利厚生等の差別的取り扱いの禁止
- 一時帰国のための有給休暇取得させるものとしていること
- 労働者派遣の対象となっている場合には派遣先や期間が定められていること
- 特定技能契約終了後に旅費の負担等、外国人が円滑に出国できるよう必要な措置を講ずること
- 外国人の健康、生活状況を把握するために必要な措置を講ずること
- 分野に特有の基準に適合することを求めるもの
02: 受け入れ機関自体が適切か
特定技能外国人を雇用する企業は、労働法や社会保険、税務に関する法令を確実に守る必要があります。具体的には、労働基準法に則った雇用契約の締結、労災保険や雇用保険への加入、保険料の適切な納付が求められます。また、外国人材の紹介を受ける際は、認可された職業紹介事業者を利用しなければなりません。
社会保険については、企業の形態に応じて健康保険・厚生年金保険、または国民健康保険・国民年金への加入と保険料の納付が必要です。万が一、保険料の未納がある場合でも、出入国在留管理局の指導に従って納付手続きを行えば、法令を遵守しているとみなされます。
税務面では、法人・個人事業主それぞれの立場に応じて、国税(所得税、法人税、消費税など)と地方税を適切に納付することが求められます。特に、外国人従業員の個人住民税を源泉徴収する場合は、確実な納付が必要です。
なお、これらの法令違反は重大な問題となり、違反が発覚した場合、最大5年間にわたり特定技能外国人の受入れが認められなくなる可能性があります。そのため、各種法令の遵守と適切な手続きの実施が極めて重要です。
- 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
- 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
- 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
- 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
- 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
- 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
- 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
- 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと
- 労働者派遣の場合は、派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで、適当と認められる者であるほか、派遣先が①~④の基準に適合すること
- 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
- 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
- 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
- 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
03: 外国人を支援する体制があるか
特定技能外国人を受け入れる企業には、適切な支援体制の構築が求められます。企業は支援責任者と支援担当者を選任する必要がありますが、この選任には一定の要件があります。
支援体制では、外国人材が理解できる言語でのコミュニケーションが不可欠です。また、定期的な面談の実施や支援状況を記録した文書の保管(雇用契約終了後1年以上)も必要です。なお、これらの要件は登録支援機関に支援業務を全て委託する場合には、その機関が満たしていれば要件を満たしているとみなされます。
- a.b.cのいずれかに該当すること
a. 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上。以下同じ。)を選任していること
b. 役職員で過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の生活相談等に従事した経験を有するものの中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
c. 上記と同程度に支援業務を適正に実施することができる者で、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること - 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
- 支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
- 支援責任者及び支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと
- 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
- 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること
- 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
04: 外国人を支援する計画が適切か
特定技能外国人の受入れでは、入国前から帰国までの一貫した支援体制を整えることが求められます。
支援計画では、まず入国前に日本での生活に関する重要な情報を、対面またはオンラインで提供する必要があります。入国時には空港での出迎えから始まり、住居の確保、銀行口座開設、携帯電話契約など、生活基盤の整備を支援します。
入国後は日本語学習機会の提供、各種行政手続きの同行支援、日本人との交流促進など、日本での生活を包括的にサポートします。また、定期的な面談を通じて問題の早期発見に努め、必要に応じて行政機関への報告も行います。万が一、会社都合で雇用契約が終了した場合は、新たな就職先の確保も支援する必要があります。
特定技能支援計画は受け入れ機関自身が作成しなくてはならず、登録支援機関は代わりに作成をすることができません(サポートすることは可能)。
- 支援計画にア~オを記載すること
ア 支援の内容
・本邦入国前に、本邦で留意すべき事項に関する情報の提供を実施すること
・出入国しようとする飛行場等において外国人の送迎をすること
・賃貸借契約の保証人となることその他の適切な住居の確保に係る支援、預貯金口座の開設及び携帯電話の利用に
関する契約その他の生活に必要な契約に係る支援をすること
・本邦入国後に、本邦での生活一般に関する事項等に関する情報の提供を実施すること
・外国人が届出等の手続を履行するに当たり、同行等をすること
・生活に必要な日本語を学習する機会を提供すること
・相談・苦情対応、助言、指導等を講じること
・外国人と日本人との交流の促進に係る支援をすること
・外国人の責めに帰すべき事由によらないで雇用契約を解除される場合において、新しい就職先で活動を行うことが
できるようにするための支援をすること
・支援責任者又は支援担当者が外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施し、
労働関係法令違反等の問題の発生を知ったときは、その旨を関係行政機関に通報すること
イ 登録支援機関に支援を全部委託する場合は、委託契約の内容等
ウ 登録支援機関以外に委託する場合は、委託先や委託契約の内容
エ 支援責任者及び支援担当者の氏名及び役職名
オ 分野に特有の事項 - 支援計画は、日本語及び外国人が十分理解できる言語により作成し、外国人にその写しを交付しなければならないこと
- 支援の内容が、外国人の適正な在留に資するものであって、かつ、受入れ機関等において適切に実施することができるものであること
- 本邦入国前の情報の提供の実施は、対面又はテレビ電話装置等により実施されること
- 情報の提供の実施、相談・苦情対応等の支援が、外国人が十分理解できる言語で実施されること
- 支援の一部を他者に委託する場合にあっては、委託の範囲が明示されていること
- 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
特定技能外国人受入れ企業の3つの基本義務
特定技能外国人を受け入れる企業は以下の4つの基準に加え、3つの義務を負うことになります。
特定技能外国人と受け入れ企業側で結んだ特定技能雇用契約を守り、出入国在留管理局にも提出した特定技能外国人の支援計画書に沿った支援の実施を行うこと、外国人の在留状況や就労状況に変更が生じた時などには適宜、入管やハローワーク、関係省庁への届出が必要になります。
01
外国人と結んだ雇用契約を確実に履行
02
外国人への支援を適切に実施
登録支援機関に委託することもできる
03
出入国在留管理庁への各種届出
出入国在留管理庁への各種届出
特定技能外国人を雇用する企業には、様々な届出義務が課せられています。
特定技能雇用契約の内容変更や支援計画の変更が生じた場合には、必ず出入国在留管理局への届出が必要です。この届出を怠ったり、虚偽の内容を届け出たりした場合には罰則の対象となりますので注意が必要です。
*特定技能雇用契約の変更をしたとき、契約が終了した時、新たに契約を締結した時には出入国在留管理長官への届出が必要になり、それを行なった場合には30万以下の罰金に処せられます。
出入国在留管理局は、届出内容を確認し、基準に適合していないと判断した場合には、企業に対して是正のための指導・助言を行います。企業はこの指導・助言に従って必要な是正を行わなければなりません。指導・助言に従わない場合は、改善命令が出される可能性があります。
*出入国在留管理長官の改善命令に従わない場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。
なお、届出が必要なのは、外国人が「特定技能」の在留資格を取得した後に発生した事項に限られます。在留資格取得前の事項については、申請時に既に確認が行われているため、改めて届け出る必要はありません。ただし、在留資格の許可を受けるまでの間に変更が生じた場合は、申請を行った出入国在留管理局への申告が必要となる場合があります。
まとめ
特定技能外国人を受け入れるためには、企業は法務省が定めた4つの基準(適切な雇用契約、受入れ機関としての適格性、支援体制、支援計画)を満たし、3つの基本義務(雇用契約の履行、支援の実施、行政への届出)を果たす必要があります。これらの要件を満たさない場合、最大5年間の受入れ停止や罰則の対象となる可能性があるため、受入れを検討する企業は事前に十分な体制整備を行うことが重要です。
「お客様一人ひとりの人生に寄り添う」を理念に掲げる当事務所は、神奈川県逗子市を拠点とする行政書士事務所です。特に力を入れているのが、特定技能制度に関する国際業務。地域に密着しながら、外国人材の受け入れをお考えの企業様のサポートを行っています。
また、横須賀の米海軍基地職員を兼務していることから、日米の国際結婚に関する実務経験が豊富です。制度上の知識だけでなく、実際の生活面での不安や疑問もきめ細やかにお応えできることが強みです。
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