【EPA介護福祉士候補者】不合格でも大丈夫|国家試験後の最適な進路を教えます

【EPA介護福祉士候補者】 不合格は終わりではない|国家試験不合格後の最適な進路を教えます
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記事内では在留資格を「ビザ」と呼ぶ場合があります。

この記事を読むとわかること

  • EPA制度の基本的な枠組みと特徴
  • 受け入れから国家資格取得までの具体的なプロセス
  • 国家試験合格後の道
  • 不合格時に残されている3つの道
  • 施設に求められる体制と準備事項

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2024年最新【特定技能】基本情報|複雑な制度をわかりやすく解説

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EPA介護福祉士候補者の基本理解

EPA制度の概要と目的

EPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者受け入れ制度は、相手国との経済連携強化と同時に、日本の介護人材確保を目的とした制度です。この制度の特徴は、単なる労働力の受け入れではなく、介護福祉士の国家資格取得を前提とした人材育成プログラムである点にあります。

制度導入の背景には、日本の介護人材不足への対応と、アジア諸国との経済連携強化という二つの側面があります。現在、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国との間で実施されており、各国の送り出し調整機関と日本側の受入れ調整機関(JICWELS)が連携して運営しています。

国の認定機関のみが斡旋に関与できる

EPAの枠組みにおいて、JICWELSは日本側の唯一の受け入れ調整機関として指定されています。これは経済連携協定及び交換公文により定められた事項です。そのため、EPA介護福祉士候補者の職業紹介については、JICWELSのみが実施できる仕組みとなっています。

また、送り出し国側においても、インドネシアのBP2MI、フィリピンのDMW、ベトナムのDOLABが、それぞれ唯一の送り出し調整機関として指定されています。これらの機関とJICWELSが政府の管理下で結んだ約束に基づいて、正規の送り出し・受け入れ手続きが行われます。

EPA介護福祉士候補者とは

EPA介護福祉士候補者は、在留資格「特定活動」で来日し、最長4年間の就労を通した研修期間中に日本の国家資格である介護福祉士の取得を目指します。候補者は各国で看護学校をすでに卒業している人材や既に介護士として認定されている人材などです。従って来日前に一定レベルの選考を経ていると言えるでしょう

特徴的な点として、以下が挙げられます:

  • 訪日前後の日本語研修(最大1年間)により、基本的な日本語力(N3〜N4レベル程度)を身につけて就労開始します
  • 介護施設での実務経験と国家試験対策を並行して実施
  • 国家資格取得後は在留資格「EPA介護福祉士」へ変更することで在留期限の制限なく就労可能

受け入れ施設に必要な研修・就労体制の構築

EPA介護福祉士候補者の受入れは、単なる人手不足の解消策ではなく、施設全体の成長機会として捉える必要があります。候補者が働きながら国家試験合格を目指すためには、施設独自の体系的な支援プログラムの整備が不可欠です。

受け入れ施設の要件

EPA候補者を受け入れるためには、以下の要件を満たす必要があります:

施設基準

  • 介護保険法に基づく介護施設であること(特養、老健、介護医療院等
  • 定員30名以上(指定介護療養型医療施設は30床以上
  • 常勤介護職員の4割以上介護福祉士の資格を保有

介護福祉士候補者の受入れ施設における研修体制の要件

介護施設が外国人介護福祉士候補者を受け入れる際には、適切な研修体制を整備する必要があります。候補者が介護福祉士国家試験に合格し、日本で活躍できるよう、厚生労働省から以下のような体制づくりが求められています。

まず、施設は介護研修計画を作成する必要があります。この計画では、候補者が国家試験に合格できるよう、効率的な学習環境を整備することが重要です。具体的には、自己学習の場の確保、十分な研修時間の設定、通信教育の活用、介護福祉士養成校での聴講機会の提供などを検討する必要があります。

研修体制では、研修責任者と研修支援者の配置が不可欠です。研修責任者は研修全体を統括し、外部機関との連携を担当します。一方、研修支援者は候補者の専門知識・技術の習得支援に加え、日本語学習や生活面のサポートも行います。

研修責任者には、原則として介護福祉士の資格を持ち5年以上の実務経験を有する人材を配置します。ただし、介護福祉士実習指導者講習会を修了した介護福祉士であれば、5年未満の経験でも研修責任者として認められます。

また、候補者が円滑に職場に適応できるよう、継続的な日本語学習の機会や日本の生活習慣を学ぶ場を提供することも必要です。これらの要件を満たすことで、候補者の効果的な学習と成長を支援する環境が整います。

年次別学習プログラムと国家試験対策

1年目の学習目標と内容

介護福祉士候補者の1年目は、職場環境への適応と基礎知識の習得に重点を置きます。まず、施設の方針や業務で使用される専門用語の理解から始めます。

研修指導者は、候補者が理解できない用語について丁寧に説明し、職員間のコミュニケーションギャップを最小限に抑えます。また、施設の新人研修マニュアルなどを活用し、職員構成や各職種の業務内容、職種間連携の重要性について学びます。さらに、利用者の高齢者特性や障害特性、疾病についての理解を深めます。

年度の後半4ヶ月間は、国家試験対策の準備期間として、日本の介護制度の全体像や基本的な生活支援技術の習得に取り組みます。

2年目の学習目標と内容

2年目は本格的な国家試験対策が始まります。国の学習支援事業による集合研修やオンライン研修を通じて、試験の全体像を把握します。

試験科目は「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」の4領域に加え、総合問題で構成されています。各領域の基礎知識を12ヶ月かけて体系的に学習し、候補者自身の得意・不得意分野を把握しながら、効果的な学習スタイルを確立していきます。

各領域の学習では、通信添削指導も活用し、知識の定着を図ります。

【3年目の学習目標と内容】

最終年度は、これまでの学習内容の総復習と試験対策の仕上げを行います。2年目に習得した知識を再確認し、各科目の関連性を理解することで、より総合的な実践力を養います。

介護計画の作成やケアカンファレンスへの参加を通じて、実践的な知識も深めていきます。特に後半期は、e-ラーニングや模擬試験を活用した実践的な試験対策に注力できるよう、施設は勤務体制を調整します。心身の健康に配慮しながら、計画的な学習を進め、国家試験合格を目指します。

EPA介護福祉士候補者の国家試験後の進路選択ガイド

日本の介護現場で3年以上にわたり、就労と学習を両立させてきたEPA介護福祉士候補者が迎える国家試験。その結果によって、以下の5つの進路選択が可能となります。

EPA介護福祉士候補者の国家試験不合格になった後のキャリアプラン

介護福祉士国家試験に合格(①~②)の場合

国家試験合格後、EPA介護福祉士として以下のような対応が可能となります:

  1. EPA介護福祉士候補者からEPA介護福祉士へ(特定活動)
    介護福祉士の資格取得後には、今までと同様、特定活動でEPA介護福祉士として働くことができます。在留期間の上限も定められていないので、継続して長期間働くことが可能です。
  2. 在留資格「介護」への変更
    「介護」の在留資格へビザの変更も可能になります。介護福祉士として在留期間の制限なく同分野で働くことが可能です。また、家族滞在も許されているので、条件を満たせば大切な家族と共に日本で暮らすことも可能になります。

介護福祉士国家試験に不合格(③~⑤)の場合

  1. 特定技能1号へ移行するケース
    2019年度から制度が始まった比較的新しい特定技能1号制度へも移行可能です。在留資格の変更後は最大5年間、日本で働くことができるので、その間に国家資格を再度受験することが可能です。また、転職の自由や給与や待遇の改善も期待できます。
  2. 1年延長し再受験
    EPA介護福祉士候補者の制度では1年間(又は1年半)の再チャレンジ期間が猶予されています。引き続き今の職場で勤務しつつ翌年の国家試験受験を目指すことができます。ただし、延長には下記の要件を全てクリアしなくてはいけません。
    1. 現在の受入れ機関との雇用契約が継続されること
    2. 候補者本人が次回の国家試験合格に向けて努力する意思を表明すること
    3. 受入れ機関が候補者の特性に応じた具体的な研修改善計画を作成すること
    4. 受入れ機関が適切な研修実施体制の確保を約束すること
  3. 帰国
    EPA介護福祉士候補者として、介護福祉士の国家試験に合格できなかった場合には、1年の延長をする場合を除き、適正な在留資格を失うため在留期限までに帰国の準備が必要になります。

ここが記事のPOINT

EPA介護福祉士候補者が国家試験を受験した後、特定技能1号「介護」への在留資格変更を検討する際、重要なポイントがあります。

就労・研修を3年10ヶ月以上修了かつ直近の介護福祉士国家試験の結果で合格基準点の50%以上及び全ての試験科目で得点があること
上記の要件を全て満たしている場合、通常、特定技能1号に必要とされる3つの試験(技能試験、日本語試験、介護日本語試験)が全て免除されるので、円滑な在留資格の切り替えが可能となります。

また、特定技能1号では、外国人材の生活基盤を確実に支える仕組みが整備されています。受入れ企業には、登録支援機関と連携した生活支援の提供が義務付けられており、具体的には住居の確保支援や社会保険・福利厚生の整備、日本人従業員と同等以上の給与水準の保証などが含まれます。また、母国への一時帰国に関しても、企業側がサポートする体制が求められています。

このように特定技能1号は、外国人材の安定した就労と生活を包括的に支援する制度として設計されています。惜しくも国家試験受験に失敗をしてもEPAから特定技能1号への移行は、候補者にとって継続的なキャリア形成と安定した生活基盤を確保できる選択肢となるため、積極的な検討をお勧めします。就労環境の充実度や支援体制の手厚さを考慮すると、EPA介護福祉士候補者のキャリアパスとして最適な選択肢の一つと言えるでしょう。

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R5年度の介護福祉士試験合格率

○「第36回介護福祉士国家試験結果」において、経済連携協定(EPA)に基づく外国人介護福祉士候補者の
合格者は228名(合格率43.8%)でした。
EPA介護福祉士、国別合格率の相違

日本語能力が介護福祉士国家試験の合格に与える影響

令和5年度の介護福祉士国家試験におけるEPA候補者の国籍別合格率には、顕著な差が見られました。ベトナム人候補者の合格率が86.4%と高い水準を示す一方、インドネシア人候補者は22.2%、フィリピン人候補者は21.3%にとどまっています

この大きな差の背景には、来日前の日本語要件の違いがあると考えられます。ベトナム人候補者には日本語能力試験N3レベルが求められるのに対し、他の二国ではN4レベルが基準とされています。N3とN4の間には、読解力や文章理解力に大きな開きがあり、これが業務習得や試験学習に影響を与えていると推測されます。

この結果は、介護現場での円滑なコミュニケーションと国家試験合格のために、日本語能力の向上が極めて重要であることを示唆しています。受入れ施設には、日常業務と並行した日本語学習支援の体制づくりが求められています。

まとめ

介護施設の運営者にとって、EPA介護福祉士候補者の国家試験結果は、施設の将来を左右する重要な転換点となります。候補者たちは、母国を離れ、言語や文化の壁に直面しながらも、日本の介護現場で懸命に働き、学びを重ねてきました。日本人と同じ国家試験に挑戦する彼らの努力は、並々ならぬものがあります。

試験の合否に関わらず、候補者たちが築いてきた経験と知識は、施設にとって貴重な財産です。合格に向けた準備過程で、施設は教育体制の整備や国際化への対応、組織的な支援体制の構築を進めてきました。これらの取り組みは、今後の外国人材受入れにおいても重要な基盤となります。

もし不合格という結果になった場合でも、特定技能1号への移行という新たな選択肢があります。この制度は、候補者が培ってきた介護の経験を活かしながら、引き続き日本で介護職員として働き続けることを可能にします。施設側にとっても、既に信頼関係を築いている人材との継続的な関係を維持できる機会となります。

この移行プロセスは、施設と候補者の双方にとって、これまでの努力を次のステップにつなげる重要な橋渡しとなるでしょう。両者が前向きに検討し、より良い未来への一歩を踏み出すきっかけとなることを願っています。

代表行政書士
中尾幸樹

当事務所は神奈川県逗子市を拠点とする、国際業務・特定技能に強い行政書士事務所です。米海軍基地職員を兼務していることから、日米国際結婚に関する独自の情報提供も可能です。

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