【特定技能1号】「農業」の概要と試験の詳細
特定技能(英語:SSW=Specified Skilled Worker)ビザは、日本で働きたい外国人の方にとって新しい機会です。2019年4月に始まった特定技能制度、指定されている14業種(12分野)は、日本の深刻な人手不足に対応するために設けられた在留資格制度です。この記事では、特定技能の一つ「農業」にフォーカスし、特定技能1号(農業)へに必要な試験や要件について、最新の制度に基づいて詳しく解説します。特に技能実習2号修了者には試験免除の制度があり、特定技能制度へのスムーズな移行が可能です。ぜひ最後までご覧ください。
この記事を読むと分かること
- 技能実習2号修了者の試験免除条件
- 特定技能1号で従事できる農業の仕事内容
- 技能測定試験と日本語能力試験の詳細
- 申請手続きの具体的な流れと必要書類
- 特定技能2号への将来的なキャリアパス
- 1. 特定技能1号 「農業」の基礎知識
- 1.1. 特定技能1号「農業」の在留期間と試験制度の概要
- 1.2. 対象となる農業分野
- 2. 特定技能1号で従事できる「農業」の仕事内容
- 2.1. 耕種農業全般の主な業務内容
- 2.2. 畜産農業全般の主な業務内容
- 2.3. 主業務に付随して認められる関連業務について
- 3. 特定技能1号「農業」に必要な2つの試験
- 3.1. 特定技能1号の技能測定試験の種類と合格基準
- 3.1.1. 技能測定試験の基本情報
- 3.1.2. 海外での技能測定試験開催国一覧
- 3.1.3. 受験方法と試験形式
- 3.1.4. 試験の構成と出題内容
- 3.1.5. 試験の難易度と合格基準
- 3.1.6. 試験結果の確認方法
- 3.1.7. 合格後の注意点
- 3.2. 特定技能1号農業に必要な日本語能力試験の詳細
- 3.2.1. 日本語能力の一定水準「N4」以上とは
- 4. 技能実習2号から特定技能「農業」へ移行に必要な要件と免除される試験
- 4.1. 耕種農業の2号技能実習修了者の場合
- 4.2. 畜産農業の技能実習修了者の場合
- 4.2.1. 技能実習2号修了の証明方法
- 5. よくある質問 - 技能実習2号からの移行について
- 5.1. 試験・免除について
- 5.2. 待遇・キャリアについて
- 6. まとめ:特定技能への移行でキャリアアップを
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特定技能1号 「農業」の基礎知識
特定技能「農業」は、深刻な人手不足に対応するため、専門性・技能を活かした業務に即戦力として従事する外国人材の受入れを目的とした在留資格です。主に技能実習生や国外から直接雇用されるケースが多く、もちろん要件をクリアすれば他の在留資格からも移行可能です。
特定技能1号「農業」の在留期間と試験制度の概要
- 在留期間:1年、6か月または4か月ごとの更新、通算上限5年。
- 技能水準:相当程度の知識または経験。分野別技能測定試験を合格(または技能実習2号を良好に修了)
- 日本語能力:JFT-Basic又はJLPT等の日本語能力試験にN4以上に合格(または技能実習2号を良好に修了)
- 学歴不問:学歴に関しては要件にありません。
- 家族帯同:不可(2号は可能)
上記のうち技能水準と日本語能力は試験による評価で証明しなくてはなりません。
(詳細はここから(ページ内を移動します)
対象となる農業分野
特定技能1号「農業」では、以下の2つの区分が設けられています:
耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)
耕種農業区分は、栽培管理や農産物の集出荷・選別等の農作業を主な分野としています。
主な業務内容として、各作物に応じた土壌づくりや施肥作業、種子・苗木の取扱い、資材・装置の取扱い、栽培に関する作業、安全衛生業務などが含まれます。
また関連業務としては、特定技能所属機関(または派遣先事業者)における農畜産物の製造・加工作業、副産物の加工、農畜産物とその加工品の運搬・陳列・販売作業があります。さらに、複合経営をしている事業所での畜産農業作業や冬場の除雪作業なども含まれます。これらの業務は全て、特定技能所属機関または派遣先事業者のもとで行われるものとされています。
畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)
畜産農業区分は、飼養管理や畜産物の集出荷・選別等の農作業を主な分野としています。
主な業務内容として、各畜種に応じた器具の取扱い、家畜の個体管理と観察、飼養管理、生産物の取扱い、安全衛生業務などが含まれます。
関連業務としては、特定技能所属機関(または派遣先事業者)における農畜産物の製造・加工作業、副産物(稲わら、家畜排泄物等)の加工作業を行います。また、農畜産物やその加工品の運搬・陳列・販売作業、副産物を原料とした製品(たい肥等の肥料、飼料等)の取扱いも含まれます。さらに、複合経営を行う事業所での耕種農業作業や除雪作業なども、日本人従業員が通常行う業務として認められています。これらの業務は全て、特定技能所属機関または派遣先事業者のもとで実施されます。
特定技能1号で従事できる「農業」の仕事内容
耕種農業全般の主な業務内容
- 各作物に応じた土壌づくり
- 施肥作業
- 種子、苗木の取扱い
- 資材、装置の取扱い
- 栽培に関する作業
- 安全衛生業務
畜産農業全般の主な業務内容
- 各畜種に応じた器具の取扱い
- 個体の取扱い、観察
- 飼養管理
- 生産物の取扱い
- 安全衛生業務
主業務に付随して認められる関連業務について
主たる業務に付随する以下のような関連業務にも従事することができます:
- 農畜産物の製造・加工作業(自社生産品に限る)
- 農畜産物の運搬、陳列、販売作業
- 生産に伴う副産物の加工作業
- 冬場の除雪作業(地域特性による)
特定技能1号「農業」に必要な2つの試験
農業分野で特定技能1号ビザを取得するには、技能測定試験と日本語能力試験をクリアしなくてはなりません。
特定技能1号の技能測定試験の種類と合格基準
特定技能ビザ「農業」を取得する条件として、技能測定試験をクリアしないといけないのは先に説明したとおりですが、具体的に以下の耕種または畜産のいずれかの試験に合格する必要があります:
- 1号農業技能測定試験(耕種農業全般)
- 1号農業技能測定試験(畜産農業全般)
技能測定試験の基本情報
- 試験実施機関:一般社団法人 全国農業会議所
- 試験時間:60分
- 受験会場:日本または海外
- 受験費用:国により異なる(日本では8,000円)
- 問題数:70問程度(正答率等を分析するための採点対象外問題を含む)
- 受験資格:満17歳以上(インドネシアは満18歳以上)
- 合格有効期限:10年間
海外での技能測定試験開催国一覧
①フィリピン、②インドネシア、③カンボジア、④タイ、⑤ミャンマー、⑥ネパール、⑦モンゴル、⑧ウズベキスタン、⑨スリランカ
受験方法と試験形式
- CBT方式(Computer Based Testing=コンピューターを使って受験)
- 受験予約:専用ウェブサイトから予約
- 試験言語:現地語および日本語対応
受験にはPROMETRIC社のアカウントが必要です。技能測定試験だけではなく日本語能力試験でも使用するので必ず取得しておきましょう。
国ごとに開催する試験スケジュールや各種試験に関する最新のお知らせもウェブサイトから簡単に確認することができます。
PROMETRIC社のウェブサイトはこちら(新しいタブが開きます)
受験可能な言語一覧
日本語
英語
カンボジア語
インドネシア語
ミャンマー語
タイ語
ベトナム語
ネパール語
モンゴル語
中国語
ウズベク語
シンハラ語
ヒンディー語
試験の構成と出題内容
耕種農業全般の場合
- 学科試験:栽培知識、安全衛生など
- 実技試験:作業判断、機械操作など(イラスト・写真での出題)
- 日本語試験:農作業指示の聴き取りなど
試験の難易度と合格基準
実務経験3年以上の方で7割程度が合格する水準に設定されています(技能実習評価試験「専門級」と同等レベル)
試験結果の確認方法
- 試験後5営業日以内にウェブで確認可能
- スコアレポートには合否、総合スコアなどを記載
合格後の注意点
試験合格は在留資格の取得を保証するものではありません。別途、在留資格認定証明書の交付申請や査証申請等の手続きが必要です。
参考サイト:
一般社団法人 全国農業会議所 - National Chamber of Agriculture
PROMETRIC - Specified Skilled Worker Test
特定技能1号農業に必要な日本語能力試験の詳細
特定技能1号では技術的試験の他にも日本語能力が一定の水準に達しているかをテストにより証明しなくてはなりません。基本的には、以下のいずれかに合格する必要があります:
- JFT-Basic
- JLPTでN4以上
JFT-BasicはCBT方式で通年行なっています。予約はPROMETRIC社のウェブサイトから行います。
JLPTは会場受験で年に2回(7月と12月)のみ実施、予約はJLPTのウェブサイトから行います。
日本語能力の一定水準「N4」以上とは
JLPTのN4とはJFT-BasicのA2は同等とされています。
JFT-BasicではA2を具体的に以下のように定義します。(JLPTのN4も殆ど同じです)
- ごく基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接的関係がある領域に関する、よく使われる文や表現が理解できる。
- 簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応ずることができる。
- 自分の背景や身の回りの状況や、直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる。
日本語試験についてはこちらの記事がオススメ
【特定技能】日本語試験完全ガイド - JFTとJLPTの違いから選び方まで
2019年4月に始まった特定技能制度、指定されている12業種は、日本の深刻な人手不足に対応するために設けられた在留資格制度です。特定技能での来日を目指す方にとって、日本語試験の選択は重要な関門の一つです。本記事では、特定技能に必要な日本語試験の種類や特徴、JFTとJLPTの違いについて詳しく解説します。自分に最適な試験を選ぶための参考にしてください。
参考サイトURL:
JFTー国際交流基金日本語基礎テスト
JLPTー日本語能力試験
技能実習2号から特定技能「農業」へ移行に必要な要件と免除される試験
技能実習2号を良好に修了した場合、特定技能1号へ移行時に技能試験・日本語試験が免除される制度があります。
ただし、技能試験が免除されるのは技能実習2号を修了した分野と特定技能で従事予定の分野に関連性が認められる場合(=同分野)に限ります。
農業の技能実習 → 特定技能「農業」 〇
建築の技能実習 → 特定技能「農業」 ×
*介護は介護日本語評価試験別途試験があります。
耕種農業の2号技能実習修了者の場合
耕種農業に関連するした場合:技能実習2号(以下の3つの作業のいずれか)を良好に修了した場合、以下の試験が免除されます:
- 施設園芸
- 畑作・野菜
- 果樹
免除される試験
- 1号農業技能測定試験(耕種農業全般)
- 日本語能力試験(N4以上)または国際交流基金日本語基礎テスト(A2以上)
畜産農業の技能実習修了者の場合
畜産農業に関連する第2号技能実習(以下の3作業のいずれか)を良好に修了した場合には以下の試験が免除されます:
- 養豚
- 養鶏
- 酪農
免除される試験
- 1号農業技能測定試験(畜産農業全般)
- 日本語能力試験(N4以上)または国際交流基金日本語基礎テスト(A2以上)
技能実習2号修了の証明方法
技能実習2号を良好に修了したことを証明するには、以下のいずれかが必要です:
- 技能実習2号修了時の農業技能評価試験(専門級)の実技試験合格証明書
- 実習実施者による技能等の修得状況を評価した文書
よくある質問 - 技能実習2号からの移行について
試験・免除について
-
技能実習2号を修了見込みですが、いつから特定技能1号の申請ができますか?
-
技能実習2号の修了予定日の3ヶ月前から申請が可能です。早めに準備を始めることで、スムーズに資格変更ができます。
-
技能実習評価試験(専門級)に合格していませんが、特定技能に移行できますか?
-
移行は可能ですが、その場合は1号農業技能測定試験と日本語試験の受験が必要になります。または、実習実施者による技能等の修得状況評価で代替することも可能です。
-
Q. 実習先の農家で引き続き働きたいのですが、可能ですか?
-
A. 可能です。技能実習2号から特定技能1号への移行時に、同じ農家で継続して働くことができます。むしろ、すでに業務に精通している点が評価されます。
待遇・キャリアについて
-
特定技能1号になると給与は上がりますか?
-
特定技能制度は日本人と同等以上の給与水準が求められており、一般的に技能実習時より待遇が改善されます。また、職場での役割や責任も広がる可能性があります。
-
特定技能2号を目指す場合、今からどんな準備をすべきですか?
-
日本語能力の向上に努める。日々の業務で積極的に判断力を養う。農作業の工程管理について学ぶ、など特定技能2号は熟練した知識・技術を使い現場を監督する、人材を指導育成する立場になるので日々の勉強が大切です。
-
特定技能1号で5年働き、在留期間の合計が10年になりました。永住権を申請できますか?
-
特定技能1号での在留は永住権の就労期間にカウントされません。(技能実習も同様)
まとめ:特定技能への移行でキャリアアップを
特定技能は人手不足の日本経済に欠かせない制度として注目されています。2024年からは5年以内に合計82万人の受け入れを予定しており、今後ますます制度の拡充が図られていくことでしょう。また、当初、特定技能2号の対象は2業種のみでしたが、現在では介護を除く全11業種(新規4業種を除く)にその範囲が拡大され、日本で長期的に働く基盤が出来上がってきています。
更に既存の技能実習2号を良好に終了したあなたなら無試験で特定技能1号への移行が可能。技能実習で培った経験を活かし、より専門的な技能を身につけることで、将来的な特定技能2号(家族を呼び寄せることが出来る)の取得も視野に入れることができます。
報酬額についての詳細は報酬額表をご覧ください。
本記事の参考サイト:
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本記事は入管法に関する一般的な情報提供を目的としており、執筆時点での法令・運用に基づいています。
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【免責事項】 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、記事の内容に基づく申請や判断により生じたいかなる結果についても、著者および運営者は一切の責任を負いません。具体的な申請手続きについては、必ず最新の情報をご確認の上、行政書士等の専門家による個別相談をご利用ください。