【企業内転勤】で日本で働くには | その魅力や条件、必要書類まで徹底解説
「外国の会社から日本の会社に転勤して働きたい。でも、在留資格はどうすればいいの?」そんな疑問をお持ちの方に朗報です。「企業内転勤」という在留資格があります。この資格を使えば、あなたの専門知識や技能を活かして、日本で安心して働くことができます。外国と日本をつなぐ架け橋として、あなたのキャリアを次のステージへ進めるチャンスです。この記事では、「企業内転勤」の仕組みや申請方法をわかりやすく解説します。
- 1. 1. 企業内転勤とは?
- 1.1. 1.1 基本的な仕組みを解説
- 1.2. 1.2 企業内転勤で出来る仕事
- 2. 2. 在留期間
- 3. 3. 企業内転勤の対象となる会社
- 3.1. 3.1 外資系企業の日本支社・子会社
- 3.2. 3.2 日本企業の海外現地法人
- 3.3. 3.3 多国籍企業のグローバルネットワーク
- 4. 4. 企業内転勤の在留資格を取得するための条件
- 4.1. 4.1 必要な職歴
- 4.2. 4.2 転勤先での仕事内容
- 4.3. 4.3 給与条件
- 5. 5.所属機関のカテゴリー
- 5.1. カテゴリー1: 上場企業や公的機関など
- 5.2. カテゴリー2: 一定規模以上の企業
- 5.3. カテゴリー3: その他の一般企業
- 5.4. カテゴリー4:上記以外の団体・個人
- 6. 6. 企業内転勤の在留資格の申請方法
- 6.1. 6.1 必要な書類
- 6.2. 6.2 申請の流れ
- 7. 7. 企業内転勤と 他の在留資格との違い
- 7.1. 7.1 技術・人文知識・国際業務との比較
- 7.2. 7.2 特定技能との違い
- 8. 8. 企業内転勤者の日本での生活
- 8.1. 8.1 家族の帯同について
- 8.2. 8.2 社会保険や税金について
- 9. 9. よくある質問(FAQ)
- 10. 10. まとめ:企業内転勤で広がるキャリアの可能性
1. 企業内転勤とは?
1.1 基本的な仕組みを解説
在留資格の一つ「企業内転勤」とは、外国にある会社から日本にある関連会社に一時的に転勤して働くための在留資格です。この制度を使うと、外国で培った専門知識や技能を日本で活かすことができます。
企業内転勤の主な特徴として、外国の会社と日本の会社に関連性があることが挙げられます。この在留資格を使うと、一定期間日本で働くことができ、主に専門的な仕事(技術・人文知識・国際業務)につくことが出来ます。
この制度は、グローバルな人材交流を促進し、企業の国際競争力を高めることを目的として設けられています。外国で培った専門知識や技能を日本で活かすことで、両国の企業にとって有益な人材の交流が可能となります。
1.2 企業内転勤で出来る仕事
「本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」
要するに、在留資格である「技術・人文知識・国際業務」の仕事を期間を定め海外にある会社からから日本の関連する会社に転勤して従事できるということ。
尚、従事できるのは「技術・人文知識・国際業務」に関連する仕事だけで、それ以外、例えば単純労働に該当する仕事は「企業内転勤」ではできません。
2. 在留期間
5年、3年、1年又は3か月
3. 企業内転勤の対象となる会社
企業内転勤は海外企業から日本法人へ、日本企業の海外支社から日本へ、何パターンかに分かれます。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
3.1 外資系企業の日本支社・子会社
外国企業が日本に設立した支社や子会社が、このカテゴリーに含まれます。
例えば、アメリカの大手IT企業が東京に支社を持つ場合、本社から日本支社への転勤がこれに当たります。
具体例: ・グーグル日本法人 ・アップルジャパン ・アマゾンジャパンなど
3.2 日本企業の海外現地法人
日本の企業が海外に設立した現地法人から、日本の本社や関連会社への転勤もこの制度を利用できます。
具体例: ・トヨタUSAから日本のトヨタ本社への転勤 ・ソニーヨーロッパから日本のソニー本社への転勤
3.3 多国籍企業のグローバルネットワーク
外国企業が日本に設立した支社や子会社が、このカテゴリーに含まれます。
例えば、アメリカの大手IT企業が東京に支社を持つ場合、本社から日本支社への転勤がこれに当たります。 具体例: ・グーグル日本法人 ・アップルジャパン ・アマゾンジャパンなど
4. 企業内転勤の在留資格を取得するための条件
企業内転勤の在留資格を取得するには、いくつかの条件を満たす必要があります。
4.1 必要な職歴
重要なポイント:転勤直前に、外国にある会社で1年以上働いていることが必要です。途中で辞めていた場合や、合算しての一年は認められません。
尚、この1年間は、技術・人文知識・国際業務の分野で働いていなければなりません。
つまり、専門的な知識や技能を使う仕事に就いていたことが条件となっています。
4.2 転勤先での仕事内容
日本での仕事は、技術・人文知識・国際業務の仕事に該当する下記、3つのカテゴリーのいずれかに該当する必要があります:
技術・人文知識・国際業務
- 技術分野: 理科系の専門知識を活かす仕事
システムエンジニア、土木・建設機械等の設計・開発生産管理、CADオペレーター等
工学的専門知識を必要とする技術的な活動 - 人文知識分野: 文科系の専門知識を活かす仕事
経理、金融、総合職、会計コンサルタント等
学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的知識を必要とする文化系の活動 - 国際業務分野: 外国の文化に基づく知識を活かす仕事
翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、デザイン、商品開発等
外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性に基づく一定水準以上の専門的能力を必要とする活動
4.3 給与条件
重要な条件:転勤先の会社において日本人社員と同等以上の給与が必要です。
この条件は、外国人労働者の権利を守り、公平な待遇を保証するために設けられています。
5.所属機関のカテゴリー
企業内転勤の申請では、所属機関が4つのカテゴリーに分類されます。
それぞれのカテゴリーによって、必要な提出書類が異なります。
カテゴリー1:
上場企業や公的機関など
このカテゴリーには、日本の証券取引所に上場している企業、保険業を営む相互会社、日本または外国の国・地方公共団体、独立行政法人などが含まれます。これらの機関は、その地位を証明する以下の文書を提出する必要があります。所謂、大企業が該当します。
- 四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
- 主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)
- 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)であることを証明する文書(例えば、補助金交付決定通知書の写し)
- 上記「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書(例えば、認定証等の写し)
カテゴリー2:
一定規模以上の企業
前年の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の源泉徴収額が1,000万円以上ある団体・個人が該当します。
源泉徴収とは具体的には給与支払い時に予め所得税、復興特別所得税を徴収し会社が後で払うものです。この額が1,000万円というのは従業員の規模で言うと200人程度となります。大企業ではなくともかなり規模の大きな会社になるでしょう。
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
- 在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(利用申出に係る承認のお知らせメール等)[カテゴリー3に該当することを立証する資料を提出した上で、在留申請オンラインシステムの利用申出が承認された機関に限る](難易度高)
カテゴリー3:
その他の一般企業
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人が該当します(カテゴリー2を除く)。カテゴリー2に該当しない=源泉所得税が1,000万円以下の会社が対象となります。
日本の殆どの会社がこのカテゴリー3に分類されるでしょう。
カテゴリー4:上記以外の団体・個人
カテゴリー1から3のいずれにも該当しない場合は、このカテゴリーとなります。
前年度の実績がない開業、起業したばかりの会社などが対象となります。
6. 企業内転勤の在留資格の申請方法
6.1 必要な書類
申請には共通して必要な書類と、企業の規模(カテゴリー)により必要な書類が異なります。
具体的には以下の書類が必要です。
共通書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真
- 返信用封筒
- 各カテゴリーに該当していることを証明する書類
カテゴリー3,4追加書類
- 申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料
(活動内容、期間、地位及び報酬を含む。) 例:転勤命令、辞令、労働条件を明示する文書 - 転勤前と転勤後の事業所の関連性を示す資料
- 申請人の経歴書
(関連業務に関するもの、過去一年の業務に関するもの) - 事業内容を明らかにする資料
(登記事項証明書や勤務先の状況を示すもの) - 決算書の写し、新規の場合には事業計画書
カテゴリー4追加書類
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする
次のいずれかの資料
(1)源泉徴収の免除を受ける機関の場合
外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料
(2)上記(1)を除く機関の場合
給与支払事務所等の開設届出書の写し
次のいずれかの資料
(ア) 直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し)
(イ) 納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料
必要書類の詳細については出入国在留管理庁のページが非常に良くまとまっているので、そちらをご覧ください。
6.2 申請の流れ
- 在留資格認定証明書の申請
- 日本の外国人を招聘(呼び寄せる)する会社が出入国管理局へ在留資格認定証明書の交付申請を行います。これは申請取次資格を持つ行政書士が対応可能です。
- 審査〜受領
- 審査には通常1〜3ヶ月程度かかります。無事、許可が降りたら在留資格認定証明書が発行されます。
- ビザの申請
- 在留資格認定証明書を受け取った会社が本国にいる申請者宛に送付します。申請者は本国にある在外公館(日本大使館)へビザの申請を行います。
- 日本への入国
- ビザが許可されたら、在留資格認定証明書を持ち日本へ入国します。
- 各種届出
- 日本に着いたら、居住地などの申告を市町村役場へ行ってください。住居地の届出は義務になりますので忘れずに行ってください。
7. 企業内転勤と
他の在留資格との違い
7.1 技術・人文知識・国際業務との比較
企業内転勤
同じ企業グループ内での転勤に限定
技術・人文知識・国際業務
日本で新たに雇用される時も適用可能
7.2 特定技能との違い
企業内転勤
技人国と同じく高度な専門知識や
技能が必要
特定技能
関連産業に関する相当程度の知識が
必要。
8. 企業内転勤者の日本での生活
8.1 家族の帯同について
配偶者と子供の帯同が可能です。
条件を満たせば配偶者は「家族滞在」の在留資格で日本に滞在できます。
8.2 社会保険や税金について
社会保険
基本的には日本の健康保険、年金制度に加入する必要があります。
ただし二重払いを防止するため両国で「社会保障協定」が締結されている場合は、
国内での加入が免除されます。2024年現在日本は23か国とこの協定を結んでおります。
税金
海外の会社から給与を受けている場合には確定申告が必要です。
確定申告をしなかった場合、在留期間更新申請の時に不利に働くことになるので気をつけましょう。
日本の会社からのみ給与を受け取っている場合には殆どの方は確定申告は不要です。
(給与収入が2000万円を超える場合、副収入で20万円を超える場合は必要です)
雇用保険
日本企業と雇用契約を締結していない場合は、雇用保険が適用されることはありません。
9. よくある質問(FAQ)
-
転勤中に転職できますか?
-
原則としてできません。
新たな在留資格、主に技術・人文知識・国際業務のへ在留資格変更許可申請が必要となります。
-
日本語能力は必要ですか?
-
法律上の要件ではありませんが、仕事や生活のために習得することをおすすめします。
-
永住権の取得は可能ですか?
-
10年以上の在留で申請可能です。
-
副業はできますか?
-
原則としてできません。許可されている仕事以外に収入を得る活動をする場合には資格外活動許可が必要です。
10. まとめ:企業内転勤で広がるキャリアの可能性
企業内転勤の在留資格は、グローバルなキャリアを築くチャンスです。
日本での経験は、あなたの専門性を高め、国際的な視野を広げてくれるでしょう。準備は大変かもしれませんが、新しい可能性への扉を開く鍵となります。
日本での生活や仕事に不安がある方は、専門家に相談することをおすすめします。
あなたの日本での新しい挑戦が、実り多きものになることを願っています。