有効求人倍率3倍超|【特定技能】「介護」の概要と受入可能施設の詳細(2024年最新)
特定技能(英語:SSW=Specified Skilled Worker)ビザは、日本で働きたい外国人の方にとって新しい機会です。2019年4月に始まった特定技能制度は人材不足が深刻な指定されている14業種(12分野)において、一定の技能と日本語能力を持つ外国人材の受入れを可能とする制度です。特に介護分野では2024年3月の制度改正により、今後5年間で最大13.5万人の受入れが可能となりました。また、2025年には訪問系介護も解禁になる方向です。本記事では、介護分野における特定技能制度の概要、受け入れ可能な施設、最新の制度改正のポイントまでを解説します。
この記事を読むと分かること
- 特定技能「介護」制度の基本的な仕組みと最新の制度改正内容
- 介護分野で認められている具体的な業務範囲
- 求められる技能水準と日本語能力の基準
- 受け入れ可能な施設と要件
- 受け入れ機関における人材育成と定着に向けた支援体制
- 1. 特定技能1号「介護」の基本情報と有効求人倍率の現状
- 2. 特定技能1号「介護」の基本情報と他の在留資格
- 2.1.1. 介護福祉士養成施設の外国人留学生
- 2.1.2. EPA介護福祉士の基本情報
- 2.1.3. 在留資格「介護」との違い
- 3. 2024年改正!特定技能「介護」制度の最新動向
- 3.1. 2024年3月改正の重要ポイント
- 3.1.1. 1号特定技能で訪問介護が解禁が決定
- 3.2. 特定技能介護の現在の受入れ状況(2024年6月時点)
- 4. 特定技能1号の在留期間と条件
- 5. 特定技能「介護」における就労可能な業務範囲
- 5.1. 対象となる介護業務の具体的内容
- 6. 1号特定技能外国人を受入可能な介護施設の種類と要件
- 6.1.1. 特定技能介護における対象施設一覧
- 7. 「特定技能1号」介護で働くために必要な3つの試験と免除規定
- 7.1. 介護技能評価試験の詳細
- 7.2. 日本語能力水準の詳細
- 8. 特定技能の受入機関に求められる様々な基準
- 9. 介護施設における受入可能人数
- 10. 生活支援と待遇面での配慮事項
- 11. どこから外国人の人材を集めるか
- 12. 2027年|新制度「育成就労」に向けての取り組み
- 13. まとめ
- 13.1.1. 参考資料・関連リンク
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特定技能1号「介護」の基本情報と有効求人倍率の現状
出典:厚生労働省|訪問介護事業への支援について(報告)社保審ー介護給付費分科会 第242回(R6.9.12) 資料2|https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43447.html
介護職員及び訪問介護員の有効求人倍率の推移を見ると、両職種とも慢性的な人材不足の状態が継続していることが明らかです。特に訪問介護職においては、平成25年の3.29倍から令和5年には14.14倍まで上昇し、深刻な人材不足が顕著となっています。施設介護員についても、同期間で1.91倍から3.24倍まで上昇しており、需要と供給の乖離が拡大傾向にあります。
この状況を踏まえ、政府は特定技能外国人制度を活用した人材確保を推進しています。同制度により、適切な技能と日本語能力を有する外国人材を受け入れることで、増大する介護需要への対応と、サービスの質の維持・向上の両立を目指しています。人材不足が特に深刻な訪問介護分野においては、更なる制度活用の促進が期待されます。
特定技能1号「介護」の基本情報と他の在留資格
1号特定技能「介護」は、在留資格「特定技能」に基づく制度です。2019年4月の制度開始以降、介護分野における外国人材の受入れ実績は着実に増加し、2024年6月末時点で約3.6万人が就労しています。
介護業界で働くには特定技能以外にもいくつかの方法があります。留学生として介護福祉士養成課程に入る、EPA介護福祉士候補生として働く、最後に在留資格「介護」で働く方法です。それぞれの特徴は以下の通りです。
介護福祉士養成施設の外国人留学生
介護福祉士養成施設で学ぶ留学生は、将来の介護現場の担い手として期待される人材です。2年間の養成課程では、450時間以上の実践的な介護実習を含む専門的なカリキュラムを受講します。このプログラムは、多様化する介護ニーズに対応できる専門性の高い人材を育成することを目的としています。
留学生が養成課程を修了すると介護福祉士の国家試験受験資格が得られます。試験に合格すれば、在留資格「介護」を取得でき、日本の介護施設で正式に就労することが可能になります*。この在留資格があれば、介護の専門職として長期的に働くことができ、施設にとっても継続的な人材確保につながります。養成課程で専門教育を受けた人材は、介護現場において中心的な役割を担うことが期待されています。
EPA介護福祉士の基本情報
EPA(経済連携協定)に基づき、日本の介護施設で4年間就労や研修をしながら、日本の介護福祉士の資格取得を目指す外国の方々を「EPA介護福祉士候補者」と言います。この制度は日本の労働力不足を補うための制度ではなく、日本で介護福祉士の国家資格を取得するのを目的とするものです。
日本と介護のEPAを結んでいる国は現在フィリピン、インドネシア、ベトナムの3か国となっています。
引用:厚生労働省「インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」
在留資格「介護」との違い
在留資格「介護」は、日本にある公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動と規定されています。介護福祉士の2024年1月の合格率は82.8%となっており、その内、外国人のEPA候補者の合格率は43.8%となっています。
出典:厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験におけるEPA介護福祉士候補者の試験結果」
2024年改正!特定技能「介護」制度の最新動向
2024年3月改正の重要ポイント
2024年3月29日の閣議決定により、以下の重要な改正が行われました:
- 受入れ見込数を13.5万人に拡大(令和6年度から5年間)
- 特定技能所属機関の責務として地域における外国人との共生社会実現への寄与を明記
- 各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるような施策の実施
- 訪問介護事業の解禁(2025年以降)
1号特定技能で訪問介護が解禁が決定
訪問介護事業は介護施設の職員よりも、より人手不足が深刻化しており、令和5年の統計では14.14倍と必要とされている人材に対しなり手が極端に低い状況が続いています。
R6年の入管法改正以前は訪問介護に特定技能外国人が従事することは認められていませんでしたが、上記の通り訪問介護分野における人材不足は深刻な課題となっており、この状況を改善するため、1号特定技能外国人の訪問介護への従事を認める方針が検討されています。
制度の実施にあたっては、すでに日本で活躍しているEPA介護福祉士や在留資格「介護」保持者と同様の基準が想定されており、介護職員初任者研修の修了などが要件として予定されています。厚生労働省の検討状況によると、2025年度からの開始が見込まれています。
この制度変更は、訪問介護事業者にとって新たな人材確保の機会となる可能性があります。ただし、実施時期や具体的な要件については、今後の政府発表で確定されることになります。当事務所でも最新の情報が入り次第、皆様へお届けいたします。
特定技能介護の現在の受入れ状況(2024年6月時点)
- 特定技能1号在留者数:36,719人
- 主な国籍・地域:
- ベトナム:8,970人
- インドネシア:9,760人
- フィリピン:4,092人
特定技能1号の在留期間と条件
特定技能1号の在留期間は以下の通り定められています:
- 在留期間:1年、6か月または4か月ごとの更新
- 通算在留期間:上限5年まで
- 家族の帯同:基本的に認められない
※介護福祉士の資格を取得した場合は、在留資格「介護」への変更が可能です。その場合、在留期間の上限がなくなり、家族の帯同も可能となります。
特定技能「介護」における就労可能な業務範囲
対象となる介護業務の具体的内容
特定技能1号の介護分野で認められる業務は以下の通りです(2024年10月現在):
- 身体介護(利用者の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)
- 付随する支援業務(レクリエーションの実施、物品の補充、機能訓練の補助等)
付随する支援業務については、日本人が通常従事することとなる関連する業務に付随的に従事することは問題ないことになっています。特定技能外国人は契約外の行為をさせる場合には、不法就労や資格該当性に抵触すると思われますが、上記の範囲であれば問題ないでしょう。ただし付随的となっているように、身体介護業務を行わせず雑用だけというのは問題になる場合があるので気をつけましょう。
1号特定技能外国人を受入可能な介護施設の種類と要件
受入れ可能な施設は、介護福祉士国家試験の受験資格要件において実務経験として認められる施設であることが条件です。
特定技能介護における対象施設一覧
以下は、介護福祉士国家試験の受験資格要件において「介護」の実務経験として認められる施設のうち、特定技能1号(介護)での就労が可能な施設・事業の一覧です。
1. 児童福祉法関係の施設・事業 | |
---|---|
入所支援施設 |
・知的障害児施設 ・自閉症児施設 ・盲児施設 ・ろうあ児施設 ・肢体不自由児施設 ・肢体不自由児療護施設 ・重症心身障害児施設 ・障害児入所施設 |
通所支援施設 |
・知的障害児通園施設 ・難聴幼児通園施設 ・肢体不自由児通園施設 ・児童発達支援 ・放課後等デイサービス ・児童発達支援センター ・居宅訪問型児童発達支援(※訪問系を除く) ・保育所等訪問支援(※訪問系を除く) |
その他 |
・重症心身障害児(者)通園事業 ・肢体不自由児施設又は重症心身障害児施設の委託を受けた指定医療機関 |
2. 障害者総合支援法関係の施設・事業 | |
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入所・居住系 |
・障害者支援施設 ・共同生活介護(ケアホーム) ・共同生活援助(グループホーム)(外部サービス利用型を除く) ・福祉ホーム ・短期入所 |
通所・日中活動系 |
・療養介護 ・生活介護 ・自立訓練 ・就労移行支援 ・就労継続支援 ・地域活動支援センター ・日中一時支援 |
旧法施設 |
・知的障害者援護施設(更生施設・授産施設・通勤寮・福祉工場) ・身体障害者更生援護施設(更生施設・療護施設・授産施設・福祉工場) ・精神障害者社会復帰施設(生活訓練施設・授産施設・福祉工場) |
その他事業 |
・身体障害者自立支援 ・生活サポート ・経過的デイサービス事業 ・在宅重度障害者通所援護事業 ・知的障害者通所援護事業 |
3. 老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業 | |
---|---|
通所系 |
・第1号通所事業 ・老人デイサービスセンター ・指定通所介護 ・指定地域密着型通所介護 ・指定認知症対応型通所介護 ・指定介護予防認知症対応型通所介護 ・指定通所リハビリテーション ・指定介護予防通所リハビリテーション |
入所・居住系 |
・養護老人ホーム(※1) ・特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設) ・軽費老人ホーム(※1) ・ケアハウス(※1) ・有料老人ホーム(※1) ・サービス付き高齢者向け住宅(※1) ・介護老人保健施設 ・介護医療院 |
短期入所系 |
・老人短期入所施設 ・指定短期入所生活介護 ・指定介護予防短期入所生活介護 ・指定短期入所療養介護 ・指定介護予防短期入所療養介護 |
4. 生活保護法関係の施設 | |
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対象施設 |
・救護施設 ・更生施設 |
5. その他の社会福祉施設等 | |
---|---|
対象施設 |
・地域福祉センター ・隣保館デイサービス事業 ・独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園 ・ハンセン病療養所 ・原子爆弾被爆者養護ホーム ・原子爆弾被爆者デイサービス事業 ・原子爆弾被爆者ショートステイ事業 ・労災特別介護施設 |
6. 病院又は診療所 | |
---|---|
対象施設 |
・病院 ・診療所 |
※1 以下のいずれかのサービスを行う施設であることが条件です:
- 特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型を除く)
- 介護予防特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型を除く)
- 地域密着型特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型を除く)
2025年からは訪問介護やサ高住(サービス付き高齢者住宅)への派遣も可能になる見込みです。
- 第1号訪問事業
- 指定訪問介護
- 指定介護予防訪問介護
- 指定夜間対応型訪問介護
- 指定訪問入浴介護
- 指定介護予防訪問入浴介護
- 指定訪問看護
- 指定介護予防訪問看護
訪問介護業界では有効求人倍率が15.53倍と介護従事者が明らかに足りていない状況に陥っています。このような状況は必要な人へのサービスが滞り、結果、介護のために現役世代が仕事を退職するなどして、長期的に日本の生産性に大きく影を落とすと言われています。
「特定技能1号」介護で働くために必要な3つの試験と免除規定
特定技能1号で介護の現場で働くには技能水準と日本語能力水準、さらに介護は介護日本語評価試験があります。
区分 | 詳細情報 |
---|---|
評価試験種別 | 1. 介護分野における技能評価 2. 介護分野における日本語能力評価 |
対応言語 | アジア12言語に対応: 日本語をはじめ、東アジア、東南アジア、南アジア、中央アジアの主要言語で受験可能 |
応募要件 | • 年齢条件:原則として17歳以上(一部の国籍の方は18歳以上) • 国籍要件:外国籍の方が対象 • 在留要件:有効な在留資格保持者(短期滞在含む) • その他:同一試験の重複受験不可 合格後の在留資格については、別途審査があり、合格が資格付与を保証するものではありません |
試験方式 | コンピューターを使用した試験システムで実施 |
出題形式 | 技能評価:45題(制限時間60分) 言語評価:15題(制限時間30分) ※諸手続きの時間は別途 |
実施期間 | 申込受付:2024年春季から2025年初春 試験実施:2024年4月中旬から2025年3月上旬 |
介護技能評価試験の詳細
区分 | 詳細 |
---|---|
実施概要 | 実施機関:プロメトリック株式会社 実施頻度:毎月定期開催 受験資格:17歳以上 試験方式:CBT方式(コンピューター使用) |
試験内容 | 試験時間:60分 問題構成: 学科(40問) 介護の基本原理(10問) 心身の理解(6問) コミュニケーション(4問) 介護実践技術(20問) 実技課題(5問) 技能水準:3年の実務経験に相当する知識・技能を評価 |
評価・結果 | 合格基準:総得点の60%以上 受験料:1,000円程度 結果通知:試験終了時に即時表示 証明書発行:5営業日以内にオンライン取得可能 |
試験が免除されるケース
- 介護福祉士養成施設の修了者
- 介護福祉士養成課程は、介護福祉の専門職として、介護職のグループの中核をなすもの。この課程の修了者はすでに介護の分野において一定の専門性・技能を備え即戦力として稼働させるための経験を有するとみなされるため、技能評価試験は免除されます。
- EPA介護福祉士候補者としての在留期間(4年)満了
- 厚生労働省の定める受け入れ実施に関する指針に基づき、介護福祉士養成施設の実習施設と同等の体制が整備されている等の要件を満たした介護施設で日本語学習、介護福祉士国家試験の受験に配慮した適切な研修を受け介護分野の即戦力とみなされ試験は免除になります
- 候補者全員が試験を免除されるわけではありません。具体的な要件は下記の通りです。
- 就労・研修を3年10ヶ月以上修了 かつ 直近の介護福祉士試験の結果で合格基準点の50%以上及び全ての試験科目で得点があること。
- 介護職種の技能実習2号修了
- 介護職種の技能実習生として3年間を過ごし第2号技能実習を良好に修了した者については技能評価試験が免除されます。
日本語能力評試験
日本語能力水準の詳細
日本語能力水準については、以下2つの要件を満たす必要があります:
- 日本語能力試験に合格
- JFTーBasic(国際交流基金日本語基礎テスト)
- JLPT(日本語能力試験)N4以上取得
- 日本語能力がA2に相当するとみなされる場合
- 介護日本語評価試験の合格
日本語試験が免除されるケース
- 介護福祉士養成施設の修了者
- 介護福祉士養成課程は、介護福祉の専門職として、介護職のグループの中核をなすもの。養成施設において2年間の実務的な研修を終えた者でありdすでに日本語能力も備わっているものとされるため、日本語能力試験は免除されます。
- EPA介護福祉士候補者としての在留期間(4年)満了者
- 厚生労働省の定める受け入れ実施に関する指針に基づき、介護福祉士養成施設の実習施設と同等の体制が整備されている等の要件を満たした介護施設で日本語学習、介護福祉士国家試験の受験に配慮した適切な研修を受け介護分野の即戦力とみなされ試験は免除になります
- 候補者全員が試験を免除されるわけではありません。具体的な要件は下記の通りです。
- 就労・研修を3年10ヶ月以上修了 かつ 直近の介護福祉士試験の結果で合格基準点の50%以上及び全ての試験科目で得点があること。
- 介護職種の技能実習2号修了者
- 介護職種の技能実習生として3年間を過ごし第2号技能実習を良好に修了した者については既に日本語能力が備わっているものとされるので日本語表会試験が免除されます。ただし、「介護職種・介護作業」以外の職種の人は、介護日本語評価試験は免除されないので注意が必要です。
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特定技能の受入機関に求められる様々な基準
受入機関(所属機関)には、省令等で定められる基準に加え、分野別の追加要件も設けられております。これらの要件は多岐にわたるため、全てを把握することは容易ではありません。以下では、受入機関が遵守すべき基準について、主要な項目を簡潔にまとめております。なお、各項目については、詳細な規定が別途定められており、別の記事で紹介しておりますのでそちらをご覧ください。
介護施設における受入可能人数
特定技能1号外国人の受け入れには人数の制限があります。人数制限は法人単位ではなく事業所単位となる点に気をつけてください。
項目 | 内容 |
---|---|
受入れ人数の上限 | 事業所ごとの日本人等の常勤介護職員の総数を超えない範囲* |
日本人等の範囲 | ・日本人 ・永住者 ・日本人の配偶者等 ・永住者の配偶者等 ・定住者、特別永住者・介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士(特定活動)・在留資格「介護」で在留する者 |
生活支援と待遇面での配慮事項
特定技能外国人の安定した就労のために、以下のような支援を整える必要があります。
- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居の確保支援
- 生活に必要な契約の支援
- 生活オリエンテーションの実施
- 公的手続きへの同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情対応体制の整備
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談と行政機関への通報
これらは特定技能で来日し就労する外国人が安定した環境の中で就労を行うのに必要な義務的支援とされています。
受入機関は自身でこれら支援をすることもできますが、多くの受入機関はその支援の一部または全部を登録支援機関に委託しています。
どこから外国人の人材を集めるか
2019年に特定技能制度が始まってから5年。特定技能では受け入れ企業にとっても様々な場面で利用が可能となっています。下記はその一例となりますが、多くの特定技能介護従事者は以下のいずれかから、現段段階では技能実習2号修了者からが多いでしょう。
- 介護福祉士養成課程の留学生から採用する
- 技能実習2号修了者から採用する
- EPA介護士で試験に落ちてしまった人から採用する
以前までは、在留期限が達した後は引き続き日本で働きたいと思っている外国人がいても、在留資格の制限で諦めるしかありませんでした。しかし特定技能はその穴を埋めることができます。技能実習では転職ができなかったが特定技能ならできます。EPA介護福祉士候補生であれば、特定技能で引き続き5年間滞在し介護福祉士国家試験を受けることも可能になり、事業者は安定した雇用を維持できます。
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2027年|新制度「育成就労」に向けての取り組み
外国人材受入れ制度が大きな転換期を迎えています。2027年に予定される法改正では、これまでの技能実習制度が廃止され、新たに「育成就労」制度が創設されることが決定しました。
この制度改革の最大の特徴は、その目的の転換にあります。従来の技能実習制度が国際貢献としての技術移転に重点を置いていたのに対し、育成就労制度では、外国人材の育成と安定的な人材確保を主眼としています。具体的には、3年間の育成期間を通じて、技能と日本語能力を特定技能1号の合格水準まで養成し、その後の特定技能1号への移行を通じて、長期的な雇用の実現を目指します。
制度の適用範囲については、特定技能1号に準拠した分野が想定されていますが、詳細な運用基準は関係省庁からの今後の発表を待つ段階となっています。現在、技能実習生を受け入れている事業者の皆様におかれましては、新制度開始時に改めて登録申請が必要となる点にご留意ください。
弊所では、制度移行に関する最新情報を随時提供させていただく所存です。今後も引き続き、関連情報の収集と発信に努めてまいりますので、続報をお待ちいただければ幸いです。
育成就労について詳しく知りたい人
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2024年6月の入管法改正で2027年に技能実習制度から移行する育成就労制度について解説。技能実習制度との違い、特定技能制度との関係性、対象16分野、移行スケジュール、転籍要件など、人事担当者が押さえるべきポイントをわかりやすく説明します。
まとめ
特定技能1号「介護」は、深刻な人材不足に直面する介護分野において、一定の技能と日本語能力を持つ外国人材の受入れを可能とする制度です。2024年3月の制度改正により、今後5年間で最大13.5万人の受入れが可能となり、2025年には訪問介護分野への従事も解禁される見通しです。現在(2024年6月時点)、約3.6万人が就労しており、主にベトナム、インドネシア、フィリピンからの人材が活躍しています。在留期間は最長5年で、技能試験と日本語能力試験が必要ですが、介護福祉士養成施設修了者やEPA介護福祉士候補者等は試験が免除されます。また、2027年には技能実習制度に代わる「育成就労」制度が新設され、外国人材の育成と安定的な人材確保を目指す新たな枠組みが始まる予定です。
参考資料・関連リンク
- 出入国在留管理庁「特定技能1号における介護分野の業務区分」
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れに関する運用要領」
- 「特定技能外国人受入れに関する運用要領」の運用状況」
当事務所は神奈川県逗子市を拠点とする、国際業務・特定技能に強い行政書士事務所です。米海軍基地職員を兼務していることから、日米国際結婚に関する独自の情報提供も可能です。
「お客様の人生に寄り添う」を理念に掲げ、長期的な信頼関係を築くため、個人のお客様には最大30%のリピート割引を実施しております。
例えば、在留資格認定証明書(COE)の取得代行:11万円~ 。勿論、初回相談料は無料。
外国人の個人の方、特定技能所属機関の皆様からのご相談をお待ちしております。
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重要な注意事項
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