特定技能【 12分野 / 14業種一覧】2024年最新版|業種別の要件と受入れ実績、新たに追加された4業種
特定技能(英語:SSW=Specified Skilled Worker)ビザは、日本で働きたい外国人の方にとって新しい機会です。2019年4月に始まった特定技能制度、指定されている14業種は、日本の深刻な人手不足に対応するために設けられた在留資格制度です。本記事では、2024年最新の特定技能12分野(14業種)の詳細、現在までの統計情報、2024年に新たに追加された4業種、今後の展望(育成就労制度)について受入機関の担当者様から外国人の皆様が知っておくべき重要なポイントを解説します。
この記事を読むと分かること
- 特定技能1号で認められている14業種の詳細要件
- 特定技能2号への移行が可能な業種と要件
- 業種別の受入れ実績と人材確保のポイント
- 2024年の制度改正と新規追加4分野の情報
特定技能制度は、深刻化する人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる制度として2019年に開始されました。本記事では、特定技能の12分野(旧14業種)だけではなく、2024年に拡充された特定技能2号の業種拡大、更に追加された4業種までを含め、最新情報を踏まえ詳しく解説します。
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2024年最新【特定技能】基本情報|複雑な制度をわかりやすく解説
特定技能の基本情報から申請手順まで詳しく解説。多くの対象分野、必要条件、申請方法、就労時の権利義務を網羅。日本でのキャリアスタートに最適な在留資格!今から人生を変えましょう!
1. 特定技能制度の基本情報
特定技能1号・2号の違いと要件
特定技能には1号と2号の2種類があり、2024年10月現在、それぞれ以下のような特徴があります。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
技能水準 | 相当程度の知識・経験を要する業務 | 熟練した技能を要する業務 |
在留期間 | 通算5年まで | 更新回数の制限なし |
家族帯同 | 原則認められない | * 要件を満たせば可能 |
対象分野 | 12分野 | 建設業、造船・舶用工業など |
在留期間と家族帯同
特定技能1号の在留期間は1年、6か月または4か月ごとの更新で、通算で上限5年までとなっています。一方、特定技能2号は3年、1年または6か月ごとの更新で、上限はありません。
家族帯同については、特定技能1号では原則として認められていませんが、特定技能2号では一定の要件を満たせば配偶者と子どもの帯同が可能です。
技能実習との違い
技能実習制度が技術移転による国際貢献を目的とした制度であるのに対し、特定技能制度は国内の人手不足対策として創設された制度です。技能実習2号を良好に修了した場合、試験等が免除され、スムーズに特定技能1号への移行が可能です。
「試験免除」のポイントを理解したい方へ
【技能実習2号を良好に修了】とは?|特定技能1号へ移行する際の重要なポイントを解説
技能実習制度から特定技能1号への移行を考えている技能実習生にとって、「技能実習2号を良好に修了」することは非常に重要なステップとなります。この記事では、良好な修了の具体的な条件や、特定技能1号へのスムーズな移行のためのポイントを詳しく解説します。
特定技能12分野(14業種)の概要と受入れ状況
2024年6月時点での特定技能外国人の受入れ状況と今後の見込みは以下の通りです。全分野合計で251,594人が就労しており、今後5年間で345,150人の受入れを見込んでいます。
分野 | 主な業務内容 | 受入れ人数 (2024.6) | 令和6年4月から5年間の受入れ見込数 | 特定技能2号 | 派遣 |
---|---|---|---|---|---|
介護 | 身体介護、生活支援等の介護業務 | 36,719人 | 135,000人 | × | × |
ビルクリーニング | 建築物内部の清掃業務 | 4,635人 | 37,000人 | ○ | × |
工業製品製造業 (旧3分野統合) | 機械加工、金属加工、電気電子機器組立て等 | 44,044人 | 173,300人 | ○ | × |
建設 | 土木、建築、ライフライン・設備工事等 | 31,853人 | 80,000人 | ○ | × |
造船・舶用工業 | 船舶の製造・修繕、舶用機器製造等 | 8,703人 | 36,000人 | ○ | × |
自動車整備 | 自動車の日常点検・定期点検整備 | 2,858人 | 10,000人 | ○ | × |
航空 | 空港グランドハンドリング、航空機整備 | 959人 | 4,400人 | ○ | × |
宿泊 | フロント、企画・広報、接客業務等 | 492人 | 23,000人 | ○ | × |
農業 | 耕種農業、畜産農業 | 27,786人 | 78,000人 | ○ | ○ |
漁業 | 漁業、養殖業 | 3,035人 | 17,000人 | ○ | ○ |
飲食料品製造業 | 飲食料品(酒類除く)の製造・加工 | 70,202人 | 139,000人 | ○ | × |
外食業 | 飲食物調理、接客、店舗管理 | 20,308人 | 53,000人 | ○ | × |
自動車運送業(New) | トラック運転者、*タクシー運転者、*バス運転者 | ー | 24,500人 | × | × |
鉄道(New) | 軌道整備、電気設備整備、車両整備、車両製造、* 運輸係員(駅係員、車掌、運転士) | ー | 3,800人 | × | × |
林業(New) | 林業(育林、素材生産等) | ー | 1,000人 | × | × |
木材産業(New) | ー | 5,000人 | × | × |
注目ポイント
- 特定技能2号への移行が可能な介護を除く全ての分野に拡大。
- 派遣形態での就労は農業と漁業のみで認められています。
- 宿泊業は現状の受入れ人数は少ないものの、今後の受入れ見込み数は23,000人と大きな伸びが期待されています。
- 新規追加事業のタクシーやバス運転手、運輸係員はN3以上の語学力が必要になる見込みです。
業種別の特徴的な動向
- 介護分野は36,719人と多くの受入れがあり、今後も135,000人の受入れを見込んでいます。高齢化社会への対応として重要な分野となっています。
- 工業製品製造業は2022年に3分野(素形材・産業機械・電気電子情報関連)が統合され、受入れ体制が整備されました。
- 建設分野は特定技能2号での受入れも始まり、長期的な人材確保が可能になっています。
特定技能外国人の国別受入れ状況の特徴と背景
特定技能外国人の国籍別受入れ状況を見ると、ベトナムが全体の約半数を占め、インドネシア、フィリピン、ミャンマーと続いています。ベトナムからの受入れが突出している背景には、技能実習制度からの円滑な移行実績や、日本語教育の充実、送出し機関の整備などが要因として挙げられます。また、ベトナム語は日本語の文法に似ていて、比較的馴染みやすい言語であるようです。
また、インドネシアとフィリピンからの受入れが多い要因としては、介護分野でのEPA(経済連携協定)による協力関係の構築や、日本語教育インフラの整備が進んでいることが影響しています。特に両国は介護・製造業分野での受入れが顕著であり、今後も安定的な人材供給源として期待されています。
国籍別の受入れ状況(2024年6月現在)
- ベトナム
- インドネシア
- フィリピン
- ミャンマー
- その他
- 126,740人(50.4%)
- 44,298人(17.6%)
- 25,303人(10.1%)
- 19,058人(7.6%)
- 36,195人(14.3%)
【第1表】主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数
【第1表】主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
国籍・地域 | 総数 | 介護分野 | ビルクリーニング分野 | 素形材産業分野 | 産業機械製造業分野 | 建設分野 | 造船・舶用工業分野 | 自動車整備分野 | 航空分野 | 宿泊分野 | 農業分野 | 飲食料品製造業分野 | 外食業分野 |
総数 | 251,594 | 36,719 | 4,635 | 44,044 | 31,853 | 8,703 | 2,858 | 959 | 492 | 27,786 | 3,035 | 70,202 | 20,308 |
ベトナム | 126,740 | 8,970 | 1,839 | 26,599 | 21,291 | 1,376 | 1,341 | 164 | 140 | 8,504 | 439 | 46,914 | 9,163 |
インドネシア | 44,298 | 9,760 | 972 | 7,028 | 3,075 | 1,641 | 251 | 70 | 91 | 8,514 | 2,452 | 9,134 | 1,310 |
フィリピン | 25,303 | 4,092 | 399 | 4,484 | 3,206 | 4,754 | 859 | 492 | 30 | 2,845 | 15 | 2,977 | 1,150 |
ミャンマー | 19,058 | 8,083 | 379 | 646 | 631 | 25 | 162 | 62 | 58 | 812 | 0 | 3,163 | 5,037 |
中国 | 15,660 | 1,143 | 598 | 3,085 | 1,760 | 751 | 23 | 5 | 36 | 2,254 | 125 | 4,941 | 939 |
カンボジア | 5,461 | 307 | 172 | 194 | 938 | 7 | 56 | 0 | 2 | 2,625 | 1 | 1,074 | 85 |
ネパール | 5,383 | 2,743 | 118 | 32 | 154 | 0 | 4 | 98 | 44 | 681 | 0 | 156 | 1,353 |
タイ | 5,174 | 303 | 59 | 1,714 | 302 | 148 | 34 | 0 | 9 | 991 | 0 | 1,453 | 161 |
その他 | 4,517 | 1,318 | 99 | 262 | 496 | 1 | 128 | 68 | 82 | 560 | 3 | 390 | 1,110 |
参考資料:出入国在留管理庁ー特定技能在留外国人数の公表等 | https//www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00215.html
特定技能の採用と支援
採用方法の種類
特定技能外国人の採用には、主に以下の3つの方法があります:
- 技能実習からの移行
- 技能実習2号を良好に修了した場合、日本語能力試験が免除(全分野)
- 技能実習2号を終えた分野と特定技能が同一分野であれば技能試験が免除
- 国内在留外国人からの採用
- 留学生からの採用
- 特定活動からの切り替え
- 海外からの直接採用
- 現地での試験合格者の採用
- 送出機関を通じた採用
支援計画の作成と実施
特定技能1号では、外国人材の安定的な就労と生活を確保するため、受入れ機関による支援の実施が義務付けられています。主な必須の支援内容は以下のとおりです。
事前ガイダンス
- 雇用契約の内容説明
- 活動内容や報酬に関する説明
- 在留手続きの説明
生活支援
- 住宅の確保支援
- 銀行口座開設支援
- 日本語学習支援
- 官公庁への書類提出のサポート
相談・苦情対応体制の整備
- 母国語での相談対応
- 生活上の相談窓口設置
- 労働条件に関する相談対応
登録支援機関の活用方法
受入れ機関は、支援業務の全部または一部を登録支援機関に委託することができます。
全てを委託した場合、外国人労働者の支援義務は履行したことになります。
登録支援機関の主な役割
- 支援計画の作成補助
- 在留諸申請の手続き支援
- 生活オリエンテーションの実施
- 定期面談の実施
- 各種相談対応
登録支援機関の選定ポイント
- 支援実績と体制の確認
登録支援機関は2024年10月25日現在、10,027件登録となっています。
しかしまだまだ新しい制度であり支援実績がない場合も多いです。入管法に詳しい申請取次資格を持つ行政書士も登録支援業務を行なっている場合が多いので、国家資格を持つ士業に依頼すると安心でしょう。 - 対応可能な言語
特定技能で来日する外国人は簡単な日本語しか話せない場合が多いです。
そのため、外国人の母国語を話すスタッフは必須でしょう。 - 費用の透明性
登録支援機関は安いところで月に1万円程、相場では月に2万から3万/人程度の委託費用が発生します。 - 緊急時の対応体制
遠方の登録支援機関と契約した場合、すぐに対応ができる体制なのかどうかをしっかりと確認しましょう。
基本的には面談は対面が望ましく、地域にある登録支援機関との契約が望ましいでしょう。
2024年の制度改正と今後の展望
2024年3月閣議決定された新規追加予定の4分野
2024年度中に下記の4分野が新たに追加される予定です。各分野ごとに受け入れ開始時期はことなります。自動車運送業分野を例にとると、令和6年度中に運用開始される見込みであるようです。詳細は各分野ごとのページで紹介いたします。
- 鉄道分野
- 自動車運送業分野
- 林業分野
- 木材産業分野
特定技能2号の対象分野範囲の拡大
2023年6月より特定技能2号の対象分野が拡大され、介護を除く全11の分野で受入れが可能になりました。
2019年から始まった特定技能ビザですが、現在までに特定技能2号で在留している外国人の合計は153人となっています。
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野:23人
- 建設分野:66人
- 造船・舶用工業分野:23人
- 農業分野:21人
- 飲食料品製造業分野:11人
- 外食業分野:9人
※2024年6月末時点の在留外国人数
参考資料:
出入国在留管理庁「特定技能2号の対象分野の追加について(令和5年6月9日閣議決定)」
出入項在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」
育成就労制度の新設により特定技能へのルート拡大
2024年6月に改正された出入国管理及び難民認定法(入管法)において、2027年を目途に技能実習制度を廃止し、新たな在留資格「育成就労」を創設する方針が示されました。
育成就労制度は、従来の技能実習制度とは異なる目的を持っています。技能実習が国際貢献を主目的としていたのに対し、育成就労は以下の3点を主な目的としています:
- 深刻化する国内の人手不足への対応
- 外国人材の育成と安定的な人材確保
- 特定技能1号への円滑な移行支援
具体的には、3年間の育成期間において、技術水準と日本語能力を特定技能1号の基準まで向上させ、特定技能1号への移行を促進します。国内の労働力不足が継続する中、特定技能への需要は今後さらに増加することが見込まれます。
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まとめ
特定技能制度は2019年の開始以来、日本の人手不足対策の切り札として着実に発展を遂げています。2024年6月時点で約25万人の特定技能外国人が日本で働いており、特に製造業、介護、建設分野での受入れが進んでいます。
2024年には鉄道や自動車運送業など4分野が新たに追加される予定であり、さらなる制度の拡大が見込まれています。また、特定技能2号の受入れ開始により、熟練した技能を持つ外国人材の長期的な就労も可能となり、より安定的な人材確保の道が開かれました。
一方で、充実した支援体制の整備や適切な待遇の確保が受入れの前提となっており、単なる人手不足対策ではなく、共生社会の実現に向けた制度として機能することが期待されています。今後は、特定技能外国人の定着率向上と技能の習熟度に応じたキャリアパスの構築が課題となるでしょう。
参考資料
- 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(2024年6月時点)
- 法務省「特定技能制度について」
- 厚生労働省「外国人雇用対策」
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